2020年私的アニメランキングTOP10+α(短評付き)

今更ながら、短評をつけてみました。

 

・ ID:INVADED イド:インヴェイデッド 5.0
舞城王太郎ここにありという作品。入れ子構造の世界だったり、最近のアニメにしては相当複雑、難解なストーリーで人を選ぶのは事実だが、(映画の)TENETを1回の視聴で理解できるならこの作品も十分に理解できる筈。監督のあおきえいとの相性も良さそうで、5年後とかでも構わないのでこのコンビでの次回作を期待したい。

ただ、所謂なろう系の対極にいる作品。ヲタ受けは最悪と思われるし、映画にしろドラマにしろ"薄い"コンテンツに慣らされた人ばかりの今の日本では厳しいのが事実。OP、EDのPVはYoutubeで視聴できるが9割以上外国語コメントって感じで…。日本でもこういうコンテンツがウケるようになって欲しい。

 

・アクダマドライブ 4.1
勢いがあって先の読めないストーリー、独特の世界観、キャラの個性も良く出ていて素晴らしい。先を読ませないことを意識しすぎて後半に要素を詰め込みすぎる作品も多いが、本作は省く所は寸劇でごまかして極端な後傾シナリオにならないようにしている。

難点としては、若干中弛み気味なのとシナリオにもう少し緻密さが欲しいところ。ただ、緻密さは持ち味である勢いを削ぐことにもなるし、破綻してるという程ではないのでこれでも悪くない。本格的SFではないが、ID程難解ではないので軽めの作品が好きな人にもいいと思う

 

・映像研には手を出すな! 4.0
癖のある作画だが逆に独特の世界観を作り出しているし、モノ作りの楽しさが伝わってくる作品。期日を守らせたり現実志向なプロデューサーvsマイペースで色々拘りたい制作陣という構図は実際の現場もそうなのだろうと思わせる。

湯浅政明監督は原作を大胆に改変することが多くそれで自爆することもあるが、本作は上手くいっていると思う。ただ、後半(3作目の映像作品)についてはイマイチで、出来上がった映像作品を1話使って丸々見せるのかと思いきや中途半端だったりして残念だった

因みに、ドラマ版も何話か視聴したが、懸念された学芸会ノリ、ファンタジーシーンのショボさについては悪くなかったものの、生徒会との絡みを増やしすぎ。生徒会はキャラが立っているので使いたくなるのは理解できるが、只でさえアニメに比べて情報量が少なくなる実写で無駄なシーンを増やしては内容が薄くなって当然。全てを原作に忠実にとは思わないが、この作品の肝はアニメ制作な訳で、それを疎かにしてしまうと原作・アニメを知らないドルヲタにしか支持されない作品になってしまうのは当然だ

 

・おちこぼれフルーツタルト 3.7
手垢が付きすぎた感があるアイドルものだが、本作はパンチラ(というよりパンモロ)も辞さないようにゲスさ、あざとさが前面に出ていて、それをキャラのかわいさや個性、テンポの良さで纏めた作品。原作は知らないが、きららはテンポがよくアニメ向きな作品が多いと思うし、数多くアニメ化されているのでノウハウもあるのだろう。上手くアニメ化した作品という印象

 

・彼女、お借りします 3.6
実際にあるかは知らないが、ゲスさ、あざとさは当たり前であろうレンタル彼女を巡る話で実際作品中の女子はあざといのだが、婆ちゃんが豪速球投げたり修羅場の連続であざとさを笑いで中和できている。

ただ、主人公の性格は少しイラッとするし、無理に4人目(桜沢墨)を登場させる必要はなかった。原作は知らないが、墨は2クール目にして七海麻美と更科瑠夏を掘り下げるのに尺を使った方が良かった。水原千鶴が所謂正ヒロインの立場なんだろうけど

 

・魔女の旅々 3.6
雰囲気はいいもののストーリー的には無難でそこまでの高評価はないかなと思っていたが、いい意味で期待を裏切った作品。ショートストーリーの連続だが、恐ろしく内容のない話から鬱展開まで振れ幅が大きく、ちょっと捻った含蓄のある話も多い。普通なら11話の内容ならこれが最終話と思ってしまうが、この後に12話のような話を持ってこれるのがこの作品を象徴していると思う

 

秘密結社 鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~ 3.5
内容以前に独特のノリがある作品で人を選びそうだが、どんなスケジュールで作っているんだと思うくらいネタがタイムリーなのは感心させられた。風刺は笑いの原点だと思わされる作品。何も考えずおバカ作品として楽しめるが、風刺が利いていることでストーリーに含蓄が齎されている

 

かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~ 3.5
1期ではあまり触れられなかった石上会計にスポットライトが当たったのはいいが、正直いい話は少しでいいし、人物が増えて散漫に、恋愛頭脳戦の要素が薄らぐなど明らかに劣化した印象。それでも十分面白いが。

 

かくしごと 3.4
凄く良くできた作品だと思うが、それ故に物足りない作品。もっと過激でお下劣で良いと思ったが。姫ちゃんのかわいさで中和できるし、シリアスパートとの落差がより際立つと思う。

 

・異種族レビュアーズ 3.3
「スケベが大好き」で始まるOPはインパクト抜群だし、近年の作品ではあり得ないレベルのサービスショット連発等、エロばかりが話題になるが、作品内のレビューは簡潔且つ的確、様々な種族がいる社会で人々が活き活きとしている様は理想のダイバーシティ社会と言え、無駄に異世界、異種族を謳う作品とは明らかに一線を画している。

ただ、エロ力押しの印象は拭いきれず、やや単調な感もある。ネズミ王国にけんかを売ったり、マヨネーズで表現したりとかエロ以外、エロを間接的に表現する要素がもっと欲しかった。その方がコメディ作品としてより面白くなったと思う。

 

デカダンス 3.2
一言で言えば、名作になり損ねた惜しい作品。2話でのどんでん返しは見事だが、それに味をしめたのか謎解きに重きを置きすぎて最終盤まで謎を引っ張り過ぎたのは非常に残念。話がごちゃごちゃしすぎだし、折角の練り込んだであろう話がご都合主義っぽく感じられる。

謎解きは9話まででほぼ終了、10話は溜めで残りの2話で大団円で良かった。これなら11話の展開も無理がないし、(既に謎解きされているので)視聴者もどうするか一緒になって考えられる。アニメの魅力は謎解きだけじゃないし、ベタで良かったと思うのだが。謎解きに拘りすぎて評価を落とした感がある。

 

ドロヘドロ 3.1
独特の世界観、個性的なキャラ、1クールの割にはそこそこ纏めた印象。

ただ、全23巻の作品だと全部アニメ化するには最低でも4クールは必要だろう。実際、1クールではキャラが多すぎるし、ストーリーもまだまだ序盤って印象だし、最後までとは言わないがせめて2クールでやって欲しかった。

 

・いわかける! - Sport Climbing Girls - 3.0
テンポの良さ、キャラが立っているライバルたち、きちんとスポーツクライミングに向き合っている、球詠みたいに作画が酷くもなく、スポーツクライミングの魅力は伝わる作品だと思う。

ただ、1クールの作品にしてはライバルが多すぎるし、1クール故にテンポが良すぎるのが逆に欠点にもなっている。球詠みたいに最後の大会をじっくり描いて欲しかった。ここに至るまでの挫折やそれを克服する過程も描かれているが、あっさり過ぎてそれらが印象に残らないのが何とも。全13話で最後の大会を引っ張るだけでもだいぶ印象は違っただろうだけに残念

 

ゴールデンカムイ(3期) 3.0
3期に突入して作画もストーリー構成も安定してきた印象。それだけ金と手間をかけていると言うことか。

ストーリー的には2期で第一部終了、今期は第二部の序章といった感じで大きな展開は無いが、風景や町並みは勿論、民俗にも立ち入った内容はいい意味で安定していて今後の話にも期待が持てる

 

波よ聞いてくれ 2.9
1話冒頭のシーンは何事?って感じで今後の展開が不安になるが、それに反して1話Bパート以降は手堅い作りという印象。ただ、ストーリー展開が遅いのと群像劇風味なので1クールでは尺が足りない感じだが、最終話はラジオパーソナリティらしいエピソードで上手く纏めたと思う。

主人公が勤めるスープカレー屋だったりちゃんと札幌を舞台にしている感はあって好印象。じっくりと進むストーリー、おこちゃまとは明らかに違うキャラの背景、ミナレのトークは面白いがオヤジギャグ多めだし、子供向けでない大人が観るアニメになっている。

 

・球詠 2.9
この作品についての感想を求められたら、作画さえ良ければ…と答える人が大半だろう。個人的には作画が悪いと言うより、不安定なのが気になった。どうしても破綻していないかに意識がいってしまうのでストーリーに集中できない。キャラデザインに関しても原作は可愛らしいのに対してアニメは少し古い感じのデザインだが、寧ろ太い脚や(女子にしては)ガッシリとした体格はファッションじゃなく本気で上を目指す選手には合っていると思う。

ストーリーに関してはもう少し練習試合にも尺を割いてくれれば良かったと思うが、1クールと言う制限の中で大一番に3話割いたのは中途半端になるより良かったと思う。野球以外の要素は殆ど無いのでこれ以上削れないだろうし。試合を通しての選手達の成長も描けているし、試合の緊迫感も伝わってきて萌要素は無くても見応えのある作品。本当、作画さえ良ければねえ…

 

・推しが武道館いってくれたら死ぬ 2.8
アイドルものは数多いが、話の多くがヲタ目線なのが特徴。ヲタとアイドルのなかなか縮まらない距離感を描いているのがこの作品の肝ではあるが、反面アニメとしては地味、もう一つ盛り上がりに欠けるのも事実。

それに加えて、余計な所に尺を割き過ぎている印象でテンポが悪い。それと、いくらヲタ目線がメインとは言えメンバーの簡単なプロフィール位は本編じゃなくてもいいから触れた方が良かった。原作忠実度は高い作品だが、寧ろアニメとしてどう見せるかを考えて欲しかった。色々と惜しい作品という印象

 

・邪神ちゃんドロップキック’ 2.7
新規キャラ多すぎで散漫に、一般受けを狙ったのか分からないが邪神ちゃんへの過激なお仕置きも影を潜めまったり風味になる等1期に比べて大幅にパワーダウンした印象。3期が決定しているが、この流れだとあまり期待できそうもない

 

・ピーター・グリルと賢者の時間 2.6
ワンパターンと言えばそれまでだが、世界観には合っているし、悲壮感は感じられないので笑って見ていられる。ただ、異種族レビュアーズよりも過激と噂された割にはイマイチだったのは残念

 

・放課後ていぼう日誌 2.6
ゆるい日常系アニメはあまり好みではないが、楽しそうに釣りをしている、舞台(熊本県芦北町)の再現度が高い(肥薩おれんじ鉄道がちゃんと交流電化に気動車なのはポイント高い)、方言キャラがいる点が高評価