2022年に放送・配信されたアニメレビュー(その1:評価2.6以上)

今更ながら2022年のアニメレビューを投稿

映画と同じで最高は5、最低は0

 

ランキングは省略するが、例年より多くの作品を視聴したが当たりと呼べる作品の数は変わらず。良くも悪くも好みが多様化したこのご時世。ヲタクはすぐ”覇権アニメ”とか言い出すが、老若男女、属性を問わずに支持されるような作品なんてないからねえ

 

こういう時代だからこそレビューに意味があると思う。日本に限ったことじゃないが評価点を盛ったところで「騙された」って思うことが多くなれば、盛ることに意味がなくなる訳で。評価点の高低ではなく、この作品を高く評価している人はどういう所を評価しているのか(もちろん逆も)の方が遥かに重要だと思うが、寧ろ今以上に評価点だけを気にするようになるのだろうな

 

前置きはこれ位にしてさっさと始める。作品数が多くて文章が長いので、三分割して投稿する

 

 

・ぼっち・ざ・ろっく! 4.6
原作ははまじあきの漫画。きらら系でJKバンドと言えば『けいおん!』が思い出されるが、『けいおん!』がきらら系を貫いた作品とすれば、『ぼざろ』はきらら系+少年ジャンプって感じで泥臭さがあるのが大きな違い

きらら系らしくワチャワチャしているシーンもあるが、少年ジャンプのようと称したように”ハードモード”を余儀なくされる。パッと出たてのバンドがいきなりメジャーデビューでスターダムと言う事はなく、バンドだとソロのようにはいかず息が合わずに実力を出しきれずに終わったり、バンド活動にも金がかかるのでバイトをしたりする。マイナーバンドだと”チケットノルマ”も厳しい

また、主人公の後藤ひとりは重度のコミュ障で作中で改善していく様子は描かれているものの、バンドメンバーに対しても余所余所しさは抜けないし、初対面の人とは全く会話にならないのは相変わらず。正直やり過ぎ感もあるのだが、コメディで中和しているし、周りがぼっちの奇行を個性と受け止める懐の広さがある。実際、バンドマンは普通じゃない人が多そうだし。ただ、コメディ色が強すぎて話の腰を折っている感もあるが。本作では原作の2巻(の途中?)までとかなりじっくりとしたペースで進んでいることもあって、同じような境遇にある人達が少しずつ進んでいく様に共感できるのだろう

本作にはパロディネタがふんだんに盛り込まれている。漫画・アニメ系のネタは比較的分かりやすいものが多いが、誰かさんのスマホについているアクリルチャームが同じくきらら系作品の『スローループ』の主人公だったり(逆に『スローループ』では結束バンドが文化祭で演奏しているシーンが一瞬描かれる)、同じCloverWorks制作の『その着せ替え人形は恋をする』のシーンが挿入されていたりよく観ていないと分からないものも

本作はバンド活動を描いているだけに、音楽系のネタも多い。まず、結束バンドのメンバーの名字はASIAN KUNG-FU GENERATIONのメンバーに由来するし、チケットなどに書かれている他のバンドは実在のバンドをもじったものだし、ポスターは勿論、シーンの構図がジャケ写オマージュになっていたり、あとはタワレコオマージュも。音楽系のネタに関しては気付かなくても楽しめるし、気付けば気付くほどニヤリとできる感じだろう

作画に関しては超絶作画ではないものの、いい意味で”無駄に凝っている”。キャラデザは最近の作品にしてはシンプルだが、その分デフォルメキャラとかコメディ作品っぽい演出がされている。実写が多く使われていて、ストップモーションアニメは勿論、実写をそのまま使ったり、アニメ風に加工するのも加工度合いを変えたりしている。シーンによってタッチを変えたりして、作画でも楽しませてくれる

勿論、演奏シーンもクオリティが高い。指もちゃんと動いているし。下を向いていたりして自分の演奏だけで一杯一杯だったのが、文化祭の演奏シーンでは周りを気にして合わせようとしている様子が伝わってくる

楽曲に関してもかなりクオリティが高い。所謂キャラソンではなく、ちゃんとロックしていて歌唱力も考慮してのキャスティングなのだろう。結束バンドの色がありつつも、曲を提供したKANA-BOONやtricot、the peggiesらしさも残っていて、彼(彼女)らのファンも満足できるだろう。演奏シーンも態と下手に演奏してバラバラな様子も表現されている。もう少し極端な方が分かりやすかったとは思うけど

本作にハマる人ハマらない人はいるだろうが、このクオリティなら好きでなくてもそれなりの評価はしなくてはいけないと思わせる作品

 

・地球外少年少女 4.1
Netflix配信作品。劇場公開された作品で脚本も映画を意識していると思われるが、(シリーズ)アニメ作品として評価する

電脳コイルから15年。ずいぶん待たされたが、磯光雄監督らしい近未来SFに仕上がっている。きっちり物語を紡いでいく視聴者に筋を追わせる作品って最近は特に少ないからなあ。一人で監督と脚本を担当するのは地雷警報発令って感じだが、十分過ぎる準備期間があり納得の出来。最近のネタもあるが、小ネタを含めて電脳コイルを下敷きにしている作品と言えるので、電脳コイルを視聴してからの方が楽しめると思う。電脳コイル未視聴組で磯光雄監督の名前を聞いたことがある人は少ないだろうから、未視聴組は観そうもないが

難点は設定を詰め込み過ぎな感があるのと、ストーリーに緩急が乏しい所。緩急に関しては映画公開を意識して前半にも山場を作る必要がある以上仕方ない所もある。寧ろ、この尺でこれだけのストーリーを展開したことを評価すべきだろう。本作は1話(正味)30分位あるので、6話と言っても通常の30分アニメ8-9話分位だが、それでも1クールあればもっとバックグラウンドにも触れられたしストーリーにもっとメリハリがつけられただろう

 

・風都探偵 3.9
2009年放送の特撮TVドラマ『仮面ライダーW』の最終回から数年後を描いた漫画『風都探偵』をアニメ化した作品。『仮面ライダーW』は数話観た程度なので詳しくは知らないが、菅田将暉若いねって感じ

仮面ライダーW』から年が経っていることもあるし、大人向けアニメにしたいのか左翔太郎とフィリップは大人っぽくなってイメージが違う。反面、鳴海亜樹子は可愛らしくなっている。ただ、ナレーションは本作でも立木文彦だし、ウォッチャマンは同役を演じていたなすびにかなり寄せている。原作至上主義者が一定数いるのは仕方がないので、主要役に関しては『仮面ライダーW』から遠ざけた判断は正解だと思う

『風都探偵』で初登場する主要キャラがときめだが、かなりエロいので特撮のイメージが強い人には受け入れられないかも。ただ、(大人の)左翔太郎が「エロスの塊のような女」と評するのなら、この位エロくて当然でしょ。他にも可愛くなった亜樹子のホットパンツ姿はセクシーだし、ネタバレになるので詳しくは書けないが変身シーンは往年のアニメのようだったり、おっさん層へのアピールを強く意識しているのだろう

おっさんホイホイはキャラデザだけでなく、OPは『仮面ライダーW』と同じく上木彩矢とTAKUYAが担当している。インスト曲なので声は聞けないが、挿入歌として『仮面ライダーW』のOPのアレンジバージョンである 『W-G-X ~W Goes Next~』が流れる。上木彩矢は個人的には『ピエロ』かな。笑点もとい昇天…

ED(主題歌)は『罪と罰とアングラ』。松岡充がヴォーカルで吉川晃司がコーラスを務める曲は懐かしくオシャレな感じ。ただ、男がダンスしているのを観ると、忌わしきサッカーアニメを思い出してしまうが…

仮面ライダーW』は2話で1エピソードが基本だったが、本作では3話で1エピソード。長くなった分は、探偵色が強くなったのと(主にときめ目線で)仮面ライダーWの説明に充てられていて、特撮未視聴層の取り込みも考慮されている

惜しむらくは1クールでは短すぎること。ときめは勿論、左翔太郎とフィリップについても良く分からないし、照井竜と仮面ライダーアクセルについては本当に簡単に触れるだけだしね。この次のエピソードである「sの肖像」が1話冒頭で流れるシーンに繋がるのだろうが

制作はウマ娘シリーズやスーパーカブ、シャインポスト等を手掛けたスタジオKAIで作画はかなり良く、アクションシーンも迫力があり、特撮とは違った魅力がある。この出来ならもっと話題になってもと思うが、ネットはU-NEXT独占なのがねえ…。独占配信だから予算が確保できるのかも知れないが、もし続編が制作されるなら独占配信は勘弁して欲しい

 

アオアシ 3.8
原作は小林有吾の漫画。サッカーは1チーム11人なだけに登場人物が多くなって1クールでは厳しいものがあるが、本作は2クール作品

本作のウリはサッカーに関してかなり細かい所まで掘り下げていることだろう。4-4-2とかのシステムやオフサイドトラップとかの話に留まらず、全体の戦術に対応した個人及びグループでの戦術を理解しそれを試合でできるかどうか。また本作はJリーグのユースチームを描いているが対戦相手はユースチームとは限らず、高校のサッカー部とユースチームの立ち位置の違いがもたらすメンタリティの差とか。本作を視聴しているのはサッカーファンだけではないと思うが、サッカーの知識がないと面白さは伝わらないと思う

この内容でサッカーばかりだと重苦しくなりそうだが、コメディやラブロマンス要素もあるし、意見が合わずに衝突したりとサッカーの邪魔にならない程度に色々な要素を織り交ぜているし、主人公の青井葦人だけでなく他のメンバーのエピソードも取り込んでキャラの性格付けも為されていて完成度の高い脚本。ぶっちゃけテンポが良いとは言えないが、これ以上のテンポを求めると内容が薄くなって原作の良さが活きないだろうし、逆に遅いとアニメとしてはダレてしまうだろう。絶妙なバランスだと思う

その割には点数がと言われそうだが、本作がコーフボールとかマイナー競技を題材にした作品であればもっと高評価にしただろう。でも本作はサッカーアニメ。言うまでもなくサッカーを題材にした作品は腐る程ある訳で、ガチなものからトンデモ系までよりどりみどり。その中で際立った個性があるかと言われると。アニメ制作はPRODUCTION I.Gなので作画に問題はないが、試合も(主に青井葦人の)思考で頻繁に止まるのでアニメとしての見せ場にはなっていないし

正直アニメ向きではないと思うので、アニメ化は原作ガチ勢には不満だろう。ただ(原作未読の)筆者からすれば上述通り絶妙なバランスで纏められた作品だと思うので、サッカーは好きだけどサッカーアニメは見ないって人に観て貰いたい作品

 

・時光代理人 -LINK CLICK- 3.7
オリジナルは中国のbilibiliで配信されたアニメ。本作は日本語Ver.だが、OPは英語、EDは日本語だが曲はオリジナル(中国語)と同じ。お洒落な感じで最初から海外配信を意識した大人向けアニメとして制作されたのだろう

作画は超絶作画と言う程ではないが悪くない。背景に映る文字は簡体中文、春巻やタピオカミルクティーが出てきたり、随所に日本とは違う価値観が出てきて、いい意味で中国のアニメを観ている感じがする

本作はタイムパラドックスやシンギュラリティを強く意識したSFである。この世界のルールを説明するのはヒカルの役目になっているが、難しい用語は出てこないので比較的理解しやすいのでは

話は1話から数話のオムニバス形式だが、それぞれのエピソードの中に主要人物であるトキ、ヒカル、リンの過去を織り交ぜたり、トキの暴走による改変が起こって他のエピソードと絡まる等してストーリーに引き込まれていく

シリーズ構成は明らかに日本のアニメとは違うが、明らかな尺余りが発生したり、前回のあらすじが長すぎたりして1話当たりの密度は薄目。それと最終話のクリフハンガーはなあ。これまでの話を全無視するようなしょーもないオチじゃなければいいのだが…

bilibiliでは2期の配信がスタートしているので、日本でも2期が放送される可能性が高いだろう。楽しみだ

 

・ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 3.7
アニメの前にドラマも放送されたが未視聴。故にどちらが面白いとか判断しかねるが、ドラマの評価も悪くないようだし原作のポテンシャルの高さが窺える

公務員を片っ端から受けて唯一合格したのが警察官だったからと言う素晴らしい志望動機。原作者は元警察官らしいが、本人もそうだったのかね。警察官は傍目に大変そうだと思うが、元警察官目線での警察内部の描写は生々しさがある。ただ、黒井津さん同様こういった皮肉を笑えないのが今の日本

シリアスとコミカルのバランスがいいし、ストーリー進行も丁寧、群像劇だが主人公の河合目線でストーリーは進んで発散した印象はないしそつなく纏まった作品。ただ、河合のキャラは十分に立っているが、アニメだしもっとはっちゃけていて良かった。本作はドラマが先に作られているだけに、もっと尖っていないとドラマ視聴組には物足りなく感じそうだ

 

・怪人開発部の黒井津さん 3.6
ヒーロー物と思ってしまうが、それはオマケ。本作は悪の秘密結社で働く女性技術員を主人公にしたギャグアニメで、妙に日本の会社のような悪の秘密結社での日常、サラリーマンあるあるを笑えるかどうかが評価を分けるだろう。学生にはサラリーマン生活は分からないだろうし、風刺が効いているネタを笑えない人も多いだろう。OPやキャスティング、全体的な雰囲気は昭和っぽいところがあって、その世代の作品(と視聴者)を意識したのだろう

作画はギャグアニメとしてはこんなものかなと思うが、ヒーロー物としては物足りない。ヒーロー物要素がメインではないとは言え戦闘シーンはかなりショボい。戦闘シーンに力を入れれば日常シーンとの落差でメリハリができたと思うが、そんな予算はないってことか

それから所謂ご当地ヒーローが多数出演しているが、もう少し絞れなかったかねえ。出演者過多の影響か素人声優が多いのだが、演技力が…。一人一人の出番は少ないが、全員の出番を合わせるとそれなりの時間になるからねえ。まあ、素人っぽさ、チープさ含め昭和のヒーロー物ってことなんだろう

 

・王様ランキング 3.5
本作の良い所を挙げると、まずは可哀そうな障碍者と言う目線で書かれていないこと。勿論、障碍はハンデではあるが、それは受け入れてストロングポイントで勝負する方法を極める。障碍ではないが、小兵力士が200kg超の力士に勝てば場内は沸くし、相撲に限らず多くの競技で体格差を克服している選手は多い

次に愛が感じられること。作画から受けるイメージと異なりシビアなシーンも多い本作だが、根底に愛がある。今の時代、孤独感が強いので、こういった作品は心を打つのだろう

ストーリーは王道ファンタジーではあるが結構複雑。12巻を23話なのでかなり消化ペースが速いが、序盤はゆったりとしたペースで進む。ただ、中盤に中弛みがあって後半は正直"薄い"。カタルシスが無いと言うか、心の葛藤が描けていないからその人物に共感できないのは勿論のこと何でその選択なのかを理解できない

ボッジとカゲの冒険譚を前面に出す為に他の人物に関することは最小限にとどめたのだろうが失敗だったように思う。ただ、評価は分かれるだろうし、葛藤を描くのがアニメとして面白いのかと言われると難しい所ではある

原作ストックが溜まるまで時間がかかると思われるので2期が作られるとしてもかなり先だろうが、本作はプロローグみたいなものでこれからが王様ランキング1位を目指す本番だと言える。これからの話の方がアニメ化し易そうだが、ストーリーにどう深みを出せるかが鍵になるだろう

 

・阿波連さんははかれない 3.5
独特な雰囲気がある作品。阿波連さんのキャラもあって全体的な印象はまったりだが、阿波連さんやライドウは勿論、他のキャラも斜め上の行動をすることが多いので、それがシュールな笑いに繋がっている。ラブコメ色が強くなるとパワーダウンする作品も多い印象だが、恋が発展しつつも笑いはしっかりついてくる感じ

個人的には毒が足りないと思うし、ややテンポが悪いので30分枠よりも15-20分枠位でやって欲しかった。それでも、他のシュールな笑い系の作品に比べればダラダラ感はないと思う

上手くバランスが取れた作品だと思うが、ラブコメなのか日常系なのか、ギャグなのかゆるさが売りなのか中途半端に感じる人も多いのかね

 

・処刑少女の生きる道 3.5
異世界転生ものだが、所謂なろう系とは一線を画する作品。俺TSUEEEEEEEEEEEEEEE、ハーレム、脳天気…とは真逆のどちらかと言えば重々しい世界観なので、逆にお気楽作品を観たい人には合わないのだろう。ストーリーもしっかりしているし作画も悪くないが、評価が上がらないのはそれが原因か

迷い人であるアカリと迷い人を処刑するのが仕事であるメノウの珍妙なロードムービー。処刑人と言えば必殺シリーズを思い出すが、本作はアニメだしああいう感じではない。ただ、迷い人は日本から来る設定で、迷い人によって持ち込まれた知識の影響で町並みは西洋風なのに看板は日本語という妙な世界

1話こそ目まぐるしい展開だが、2話以降はじっくりと進む。波乱万丈な冒険譚を見せるよりは、練り込まれた設定に基づく世界観とメノウとアカリの複雑な感情を描くのに重点を置いたシナリオになっている。ただ、このペースで進むならせめて2クールでやって欲しかった。全体の話からすれば序盤も序盤だろう

純粋概念をはじめ全体的に抽象的で理解しにくい。更に進行がかなり遅いので、ファスト映画で十分という人には向かない作品。異世界ものにアレルギーはないが、なろう系はワンパターンでイマイチと言う人にお勧め

 

パリピ孔明 3.2
三国志(演義)で有名な諸葛亮孔明が現代の渋谷に転生し、歌を聞いて感動した月見英子を軍師としてプロデュースする話。転生ものも三國志もありふれた題材ではあるが、作品の出来は調理の腕次第と思わされる

とにかく作者の三國志愛が感じられる作品。故事を丁寧に現代のシチュエーションに落とし込んでいる。月見英子という名も孔明の妻である黄月英に因んでいるんだろう。ただ、パリピ孔明と言うにはパリピ感が足りない。孔明のイメージを大切にしたいのだろうが、もっとメリハリが欲しかった

序盤はテンポも良くてこれは凄い作品になるかと思ったが、中盤の10万いいね以降テンポが悪くなり失速感が。KABEやAZALEAの過去とか削れる所が多く無理に引っ張っているように思えるので、最後も盛り上がると言うよりはやっと終わった感が出て来てしまう。10万いいね以降の話を削って、その前にアニオリで試練を挟めば良かったと思う

歌やラップを実際に表現できるのはアニメの良さだと思うし、それ程知られていない作品のアニメ化としては十分な出来なのでは。OP、ED共印象に残ったし。歌を声優にやらせなかったのは賛否あるだろうが、餅屋は餅屋でいいのでは。ただ、声優にやらせようがやらせまいが、歌が素晴らしいと思うかは個人の主観による訳でこればかりはどうしようもない

P.A.WORKSはオリジナル作品が多いがシナリオはイマイチの印象。作画は安定しているので、これからはオリジナルより原作のある作品のアニメ化に期待したい

 

ダンス・ダンス・ダンスール 3.2
バレエが題材だと主人公は女性が相場だが、本作では男性。熊川哲也とか男性のバレエダンサーもいるが、世間的には女の子の習い事のイメージだろう。そんなジェンダーバイアスを打破するところから話は始まる

モーションキャプチャで取り込んだダンサーの動きはとてもスムーズ。バレエのシーンが多く、使われている音楽もバレエの超定番、白鳥の湖がメインなので、バレエを知らない人にも魅力が伝わると思う。ライバルの存在と恋愛要素、クラシック音楽等、古典芸能に付きまとう伝統と革新の対立を描いているのはスポ根ものとして王道を行っている

脚本は1クールだとこれが限界って感じ。中途半端になりがちなので、サマースクールに尺を割いたのは良かったと思う。ただ、サマースクールに行く経緯からして行き当たりばったりであまり引き込まれない。ストーリー的に明らかに序盤に過ぎないからねえ。本作は5巻までをアニメ化したと思われるが、現在24巻まで出ているし、せめて2クールでやって欲しかった。本作の個性が出てくるのはこれからだと思われるし

キャラデザはかなり癖があって好みが分かれるだろう。キャラデザだけでなく性格も癖の強い人物が多いので、これも好みが分かれそう。但し、主要キャラのうち流鶯はかなりねじ曲がっているが、潤平は猪突猛進、都は情熱を内に秘めていて中学生らしい真っすぐなキャラなので、キャラデザや声がイマイチ噛み合っていないように思える

本作はTV放送こそ複数局だが、ネットはDisney+の独占配信。ネトフリ作品が話題にならないのは作品の出来もあろうが、見ている人が少ないのが原因。話題にならない→再生回数が伸びないの悪循環になりがち。今の時代TVを見ない人が多いし、口コミもネットなのでネット配信のチャンネルを増やすことが勝利の方程式だろう。アニメ業界も貧困に喘いでいるので、それなりの条件を提示されると流されちゃうんだろう。ヒットするかどうかは分からないし

 

サマータイムレンダ 3.2
原作は田中靖規の漫画。2022年にアニメ化、2023年にコンシューマーゲーム化されている。所謂、死に戻りゲーでリゼロ等既に手垢の付いたジャンル。本作ならではの味付けが問われるが…

中盤までは素晴らしいデキだと思う。誰が人間で誰が影なのか分からないのと成功失敗に関わらず、死に戻りのスタート地点が後ろにズレていく緊張感。若干テンポが悪い気もするが、これ位のペースの方が無理なく話についていけるし、少しずつ明らかになる設定や事実と誰が敵で誰が味方なのか分からない心理戦をじっくりと堪能できる

ただ、終盤は「呪術廻戦」なんだよなあ…。別に呪術廻戦をdisる訳ではないが、本作に求められているのはそれじゃないって感じ。後出しジャンケンみたいな設定が多くなって、やたら愛や友情の力を強調。まあ、原作は少年漫画だし、アニメ的に戦闘シーンは映えるのだろうが、そういう青臭さは求めてないって

更にラストは…。「その後」をここまで長く描く必要があるのか。タイムリープものって矛盾なくしてストーリーが成り立たないからねえ。終盤の超設定に更に矛盾の上乗せ、安っぽい恋愛ドラマのおかわりには食指が動かない

それと気になったのは言葉。一言で関西弁とは括れず地域によって差がある。舞台は和歌山なので紀州弁(和歌山弁)だと思うが、「しちゃる」とか「行けやん」とか言っているので方言指導は入っているのだろう

今時、完全な方言を話す人は少ないと思うし、特に東京に行ったらより標準語とのちゃんぽんが進行して当然だと思うが、それにしても序盤の言葉遣いはなあ…。こちらが慣れてきたせいもあるのか、上手く方言を取り込んだのか少しずつ違和感は解消されたけど

言葉の件はともかく、もっと序盤に終盤の超設定を印象付けておけば多少はマシになった筈。一応、何周目のあのシーンって説明はあるけど。粗製濫造が目立つ最近のアニメの中では良いデキの部類だと思うが、それだけに終盤が残念だ

 

・万聖街 3.2
原作はWeiboで連載されている漫画「1031万聖街」。オリジナルは1話5分だが、日本語吹き替え版は6話を纒めて1話の構成になっている。ジャンルは日常系コメディ。何故か人外ばかりが集うシェアハウス1031号室でのドタバタ劇を描いている

制作は寒木春華動画技術有限公司。中国の会社なんて知らねえよって言われそうだが、『羅小黒戦記』を作った所と言えば分かるか。『羅小黒戦記』は海外ではChinese Ghibliなんて言う人もいてキャラデザ含め日本らしい作画であったが、本作は癖の強いキャラデザでアメコミっぽい感じ。勿論、作画のレベルは悪くない。まあ、日常系アニメなので超絶作画でも良さを堪能できないしね

作中に出てくる看板などは中国語だし、新年に爆竹を鳴らしてお祝いするなど中国らしい風習も見られるが、全体的に中国色は薄めで日本人でもついていける内容。ゲラゲラ笑うような作品ではないが、ほんのりブラック風味のネタにクスリとする感じで気楽に楽しめる作品。キャラは多いが、どのキャラも大事にされていて好感が持てる

 

・BIRDIE WING -Golf Girls' Story- Season 1 3.1
ゴルフアニメ自体珍しい中で女子ゴルフを題材にしたオリジナルアニメ。対象を女子ゴルフに関心のあるおっさんに絞った作品と思われ、若い人が見ても面白くないかも

本作の良さはテンポがいい所だろう。ぶっ飛んだ展開もあるがダレずに最後まで突っ走る感じ。ただ、作画は今風でもストーリーはかなり昔っぽい。声優も鬼頭明里とか若い子も出ているが、池田秀一古谷徹、女性陣も小清水亜美中原麻衣田村ゆかりらがJK役で登場する。OPは広瀬香美だし。昔に比べて声がかなり低くなったが、力強さがあって本作のようなスポーツ物には合う声

個人的にはもう少しじっくり進めて欲しかった。全ての試合でなくてもいいから、じっくり描くところとダイジェストのメリハリが欲しかった。ゴルフファンはもっとゴルフシーンが見たいと思うし、逆にキャストに惹かれてゴルフを知らないのに視聴しているおっさんアニヲタにとってもゴルフという競技の何たるかが理解できないと思う

分割は最初から決まっていたことだろうが中途半端な所でSeason 1が終了しているし、Season 1はイヴが日本に来るところまでで良かったと思うが。ただ、高校を卒業してプロになってメジャーで勝つって感じのシナリオだと、じっくり描いていたら2クールでは無理そうだしなあ

ニギリ(賭けゴルフ)だったり、いちいちレインボー・バレットと口走ったりヤバい要素が結構多いが、500ヤードを1オンとかゴルフとしてあり得ないことは起こらないのはゴルフを知っている層を意識した結果だろう。2期もぶっ飛んだところとゴルフへのリスペクトのバランスは間違わないようにして欲しいが、イン・ザ・ゾーンは不安材料。異能バトル物になったら一気に視聴者が離れるだろう

 

かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック- 3.1
実写映画化もされた、かぐや様は告らせたいの3期。そろそろ決着を期待したいところだが…

作画は今期も良好だし、1つ1つのエピソードは面白い。声優さんの大きな演技によるところもあるが、パロディネタも多くきっちり笑わせてくれる。ただ、本作はギャグアニメではなくラブコメ恋愛頭脳戦はどこへ行ったのか

ただ、全体的(3期まで)にも今期にも言えることだが、引っ張り過ぎな感がある。ストーリー性の強い作品であれば、1クールなら特定のイベントにフォーカスするのは悪くないが、本作の場合、前半のコメディパートを後半に強引に軌道修正してストーリーパートに持って行った感があって、もう少し上手くトランジションして欲しかった

肝心のクライマックスはこんなものでしょ。上述のようにストーリー的には上手く繋いで欲しかったが、くどすぎずいい感じだったと思う。1期のEDであるセンチメンタルクライシスがピッタリでラブコメが好きな人なら泣けるかも

何期も続くとキャラが多くなりすぎてそれぞれの印象が薄くなりがちだが、本作はまさにそれ。主人公だけでは話が成り立たないし、新キャラが出てくることで話が膨らんでいくのは事実だが、藤原書記を筆頭に秀知院学園生徒会の影は薄くなった感じ。まあ、藤原書記はシリアス展開には合わないキャラではあるが

4期があるみたいだが、どうなるのかね。ストーリー的にはこれ以上の見せ場はない筈なので、ギャグに振り切れるかどうかだろうな

P.S. 福原遥は最近は声優の仕事が多いな。別に声優至上主義ではないので、きっちり演技してくれれば何の問題もない。声優もドラマに出演しているし、明確な垣根はないと思う

 

・Engage Kiss 3.1
最近多いメディアミックス作品。メディアミックスと言うとソシャゲ原作が多いが、それだと多すぎるキャラをアニメ内で処理しきれないパターンに陥りがち。最近はアニメが先で、前日譚やアナザーストーリーをアニメ化することで弊害を防ごうとしているが、本作もそのパターン

アニメ制作はA-1 Pictures。今のアニメ業界で"当たり"と言える制作会社の一つで、つなこ原作のキャラが作画崩壊するようなこともなくヒロイン達の魅力を引き出している。ただ、戦闘シーンはもう一息。作画自体が悪いわけじゃないが迫力に欠ける感じ。ファンタジーとリアルの中間的な設定なので、作画も中途半端になってしまうのか

脚本はよく考えられていると思う。各要素に目新しさはないが無駄がなく、序盤はシュウのチャラさが全面に出たラブコメながらも過去のエピソードを織り交ぜることで"訳あり"を匂わせつつ、中盤はキャラが増えてストーリーも動き出し"バトル"も本格化、終盤は先の読めないストーリー展開に引き込まれる。やや雑な面はあるものの、かなり重たい設定のストーリー、School Daysのような修羅場を迎えてもおかしくない所をラブコメとして上手く纏めたとは思う

ただ、中途半端な感は否めない。最初と最後もそうだし、道中も本作はあくまでラブコメだという思想は感じられるのだが、ラブコメを楽しむにしてはストーリーが邪魔、ストーリー物としてはラブコメ要素がノイズに感じられ、もう少しどちらかに寄せられなかったかね。あと、最後は賛否が分かれるだろう。ストーリー派は勿論、ラブコメ派でも否が多そうだが

それに最近は良くも悪くも"平和"な作品が好まれるので、1話から修羅場展開だとラブコメ好きにも切られてしまうのだろう。キービジュアルからしてエ□ゲ的なように、それっぽい描写もあるのではっきり大人向けの作品だろう。良く出来た作品ではあるのだが、どの方向から評価しても減点要素がそれなりにあって高得点はつけにくい

本作の続きはスマホゲー「Engage Kill」でってことだろうが、いつになるのかね。尤も、制作はスクエニらしいので期待はできないか。最近はスクエニ改めスグゼニって感じだからな

 

・シャドーハウス(2期) 3.1
ソウマトウによる漫画のアニメ化。2021年に1期(全13話)が放送された

1期と同じく制作はCloverWorks。(偶に外れがあるが)作画には定評があるだけに、画でも本作の世界観を体現している。OPとEDも本作にマッチしている

1期に比べて謎解きに重点を置いていて、その中でケイトとエミリコの関係は勿論、同期とも関係を深めていく様子が描かれている。1期に比べればテンポも良いし、1期より出来はいいと思う

ただ、それでも進行が遅すぎる。ここまでで1クールでもおかしくない内容だし。某鬼狩りに例えるなら上弦に力の差を見せつけられた所で終わっているので、完結までまだまだ話数が必要だろう。多分、3期は作られるのだろうが、3期でもそこまで話が進むようには思えないし

最後まできちんと作ってくれるならいいが、ヤケクソのネバーランドみたいに紙芝居で〆もありそうで怖い

 

・恋愛フロップス 3.1
オリジナルアニメ作品。タイトルからするとラブコメっぽいと思うだろうが、キービジュアルや各話のタイトルはエロゲそのものって感じで実際下ネタが多いので、嫌いな人には無理だろう

本作を端的に言えば”出来の良い麻枝アニメ”。『神様になった日』は酷かった。前半コミカル、後半シリアスなのは麻枝作品を彷彿とさせるし、起承転結ができているので(エロに抵抗がなければ)ストーリーに引き込まれる人は多いと思う。タイトルも考えられているし

もう少し詳しく観ていくと、1-2話(起)はありえない展開とご都合主義の塊で当にエロゲって感じだが、それも3-6話(承)では落ち着く。各ヒロインを掘り下げると同時に下ネタやパロディネタで笑わせつつ、しっかり伏線を張って、後半このままでは行かないと示唆している

ただ、ここまでエロ押しじゃなくても良かったかも。AV関連のパロディネタは分からない人もいるだろうし、前半と後半の落差ができれば十分。そこまでエロに拘りたいなら、『異種族レビュアーズ』くらい腹を括って欲しかった。同じパッショーネ制作だし

7-9話(転)は所謂水着回と見せかけての…で驚くが、6話までが明らかにおかしいし伏線も張られているので納得の超展開だろう

しかし、10-12話(結)が残念。一言で言えば安っぽい。10話はまだ許せるにしても、11話以降は何とかならなかったかね。この展開に”浪花節”はいらんわ。各ヒロインの中の人ファンにとっては演技を堪能できて良かったかも知れないが

それとメインヒロインについては6話までにきちんと伏線を張って欲しかった。終盤忙しすぎるのと、メインヒロインと他のヒロインとの差が少ないから、これだと泣けないんじゃないかね。まあ、EDが示唆していると言えばそれまでだが。回想っぽいシーンを少しずつ長くして6話でははっきり分かる位で良かったと思うけどね。まあ、ヒロイン達との出会いが偶然ではないことの示唆にはなっているけど

最後のご都合展開を含めて一昔前のエロゲって感じ。ネタもおじさん向けだし。上述の通り、ちゃんとストーリーを楽しめるデキなので、もう少し間口の広い作品に仕上げた方が良かったと思う

 

・恋は世界征服のあとで 3.0
所謂ロミオとジュリエットものだが、それが戦隊ヒーローと悪の一味なのが面白い所

本作を一言で言えばそつなく纏まった作品。悪役の恋愛観はさぞかし過激かと思いきや、かなり初で少女漫画のよう。二人のデートにヒーロー側、悪役側の一人が主に絡むパターンで毎話進んでいくが、悪役側はかなり個性的なキャラが多い

ただ、戦闘シーンは少な目で、正直戦隊モノである必要は?って感じ。まあ、戦隊モノを前面に押し出すには作画をもっと頑張る必要があるとは思うが。とは言っても、ラブコメとしては問題ないレベル

全体的に毒や尖った部分がなく、ラブコメなのでストーリー展開に乏しくちょっとダレ気味。2クールだったら飽きていたかも。ゲラゲラ笑うような所はないが、二人の関係は微笑ましくでクスリとは笑える。真面目な話もあるがシリアス度は低く、何よりデス美が可愛い。気楽に見るにはいい作品

 

・神クズ☆アイドル 3.0
タイトル通りアイドルもの。このクールだけでも複数の作品が放送されているように、食傷気味に思えるアイドルもの。伝説のアイドル復活と言えば「ゾンビランドサガ」が思い出されるが、(ゾンビとして)本人が復活するのではなく、楽して稼ぐことしか頭にないやる気のないアイドル仁淀ユウヤに憑依するのが違う所

仁淀ユウヤと吉野カズキのユニットZINGSの成長を描いてはいるが、基本的にはコメディ。吉野カズキや最上アサヒと仁淀ユウヤのテンションの違いも面白いが、最上アサヒが取り憑いている時とそうでない時の演技の落差がいい

ただ、今作の主役は仁淀ヲタだろう。ドルヲタを描いた作品と言えば「推しが武道館いってくれたら死ぬ」を思い出すが、コメディ色の強い作品と言う事もあって推し武道のようなピュアな愛を描く作品ではない。主にCパートで描かれる豚貴族での仁淀ヲタの居酒屋トークは強烈

ストーリー的にはテンポ自体は悪くないが、やや冗長な感も。本作は全10話(9話+1話と言うべきか)で通常の1クール作品に比べ話数が少ないが、あと1,2話削っても良かったかも

本作で一番残念なのは作画。作画崩壊ってほどじゃないし日常シーンはこのレベルで十分だと思うが、問題なのはライブシーン。EDは毎回のように変わるし、挿入歌も沢山用意されているように楽曲に力を入れているのは感じられるので、作画を頑張って欲しかった。この楽曲のクオリティに見合う作画ならもう少し話題になったと思われるので残念だ

 

SPY×FAMILY 3.0
変則2クールで放映された作品だが、2クール通しての評価。タイトル通り、(シビアな)スパイとしての側面と(ゆるい)家族としての側面を描いた作品なのだろうが(原作未読)、Season 1では殆どFAMILYって感じ

本作を一言で言えば「設定の勝利」だろう。フォージャー家は所謂偽装家族だが、各々が重大な隠し事をしていて、バレれば家族崩壊どころではなく各方面に多大な影響をもたらすレベル。スパイとしてのミッションと家族関係、2つの緊張感がバックボーンにある

ただ、少なくともSeason 1ではストーリーよりはかなりコメディ寄り。アーニャは人の心が読める設定で実際、相手の心を見通しての行動をするので一歩間違えるとしんちゃんのようなクソガキになりがちだが、アーニャの境遇とキャラの可愛らしさが相まって子供らしい無邪気なキャラという印象を与えているのが人気の大きな理由だろう。アーニャ以外のキャラも抜けているところがあって、緊張感とは対照的なゆるいコメディとして仕上がっている

それなのに点数が低いと言われそうだが、それはストーリーの進行があまりに遅いから。全体的に引っ張りすぎ。引っ張るのはキャラの個性を際立たせることにも繋がってはいるが、流石に2クール使ってやっとスタートラインって感じではなあ…

Season 2と映画版制作が決まっているが、上手くやらないと"バブル"はあっけなく崩壊しそう。映画はストーリー系なら前日譚的なもの、まあアーニャ推しのコメディタッチのオリジナルストーリーが無難な所だろう。鬼滅みたいにストーリーの一部を映画化するのは止めた方がいいだろう

原作未読なので分からんが、Season 2は少しはストーリーが進行するのだろうか。Season 1のようなペースだとドロップアウトしそう。ただ、今の人気はアーニャ推しのゆるいコメディによるものだろうから、逆にファンが離れる可能性もありそうで匙加減がかなり難しそうだ

 

・不徳のギルド 3.0
原作は河添太一の漫画。僧侶枠などエロ専門チャンネルを除けばエロ枠0のクールも珍しくないが、よりによってファンタジー+エロでモロ被りするとはね…。ただ、子種争奪戦を描いた『ピーター・グリル~』のような露骨なエロではなく所謂ラッキースケベ路線。まあ、ラッキースケベと言うよりはオールウェイズスケベって感じだがw

本作を一言で言えば「出来の良いこのすば」。主人公が出来の悪いパーティメンバーのお守りをするギャグ時々シリアスなのは共通している。故に出オチ感があるが、それをラッキースケベまでの導入と主人公のツッコミでメリハリをつけている感じ

作画は普通だと思うが、この手の作品は作画でガッカリさせられることも多いので十分なクオリティだと言える。キャラも可愛くて個性的。それにしても”胸囲の格差社会”だなw

 

異世界薬局 2.9
2015年より『小説家になろう』で連載が開始された高山理図の同名ライトノベルが原作。所謂なろう系。正直、なろう系にいい印象はないので嫌な予感しかしないが…

(テンプレ)なろう系の悪い所をいくつか挙げると、テンポが悪くダラダラとした展開になりがち、チート能力を無駄にひけらかす(それに加えて自分がとんでもない能力を持っていると気付いてない奴も)、苦労知らずの超展開の連続等があると思うが、本作ではそつなく纏めた印象

1クールで原作の第2巻まで消化は決して速いペースではないが、アニメとしてテンポは悪くないし、最後にこの時代(中世のような異世界)では相当な脅威である黒死病(ペスト)に尺を割くシリーズ構成は良いと思う。主人公のファルマは謙虚で、いきなり宮廷薬師に抜擢されるも実績を積み上げて周囲に認められていく過程を描いているのもGood

医師や薬剤師が監修していることもあって医療に関わる内容は本格的。本作では専門用語がバンバン出てくるので、医学、薬学系か化学系の知識がないと話が理解できないかも。例えば、第11話でカビの研究をしている教授がいきなり出てくるが、その時点で何が狙いなのか分かる人には分かるだろう。ただ、その割には浅いと言うか、もっと医療アニメ寄りで良かったと思う

その最たる例が最終話。本作にバトル物を期待する人はいない筈で、がっかりした人が多いのでは。まあ、なろう系が好きな人はテンプレなろうが好きなのだろうし、なろうで連載するとなるとテンプレからの完全脱却は難しいのか

作画は普通レベルだが、なろう系アニメは作画が悪い作品が多い印象なのでなろう系としては良好な部類だろう。鼻につくキャラは少ないし、テンポも良く内容を全て理解しようとしなければ知識もいらないと思うので、なろう系嫌いな人が観るなろう系アニメとしてはオススメできる

 

・Do It Yourself !! -どぅー・いっと・ゆあせるふ- 2.9
オリジナル作品だが、パッと見きらら系と思わされる。アニメと同時にコミカライズされ、今後ドラマ化も予定されている

作画は『電脳コイル』のようだと言うべきか。舞台は近未来だが、キャラデザ含めて一昔前の作品のイメージ。ロトスコープ風だったり、あえて画を崩したりして新しいものと古いものが共存する社会を表現している

実際、古いものが完全に無くなるかと言えばそうでもない。未だに観光用とは言えSLが走っているし、SNS全盛時代でもブログは消滅していないしね。電子工作キットの定番は今でもトランジスタラジオで、ワクワクしながら組み立てた人も多いのでは

本作のテーマはタイトル通り物作りであるが、作り上げていくのはもの以外もということだろう。せるふとぷりんは幼馴染みだが今はどことなくぎこちない。その関係性をDIYを通して…という話の方がメインになっている

モノ作りだけにしなかったのは悪いとは思わないが、そのせいかもう一つ盛り上がらないのも事実。目的のアレはあっさり完成してしまった印象。ああいうトラブルではなく、もっと技術的な話にできなかったかね。恰も凄いことをやっているように思えるが、CADなんて無料ソフトでもできるからねえ。本作を観る層はゆるめの日常アニメが所望でDIYなんて二の次なんだろうけど、DIYを題材にしたからにはDIYの魅力がもっと伝わる作品にして欲しかった

それと本作は三条市が舞台になっているが、ご当地要素は少ない。カレーラーメンは出てくるけど。また、三条市スノーピークや「CAPTAIN STAG」を展開するパール金属の本社があるのでアウトドアネタもあるかと思ったが、某作品ともろ被りになるので避けたか。水着回はあるけど

あと三条市だけでなく燕市と一緒にやれなかったのかね。両市とも金属加工で有名だし。今は知らんが、両市は仲が悪いことで知られていて、新幹線の駅名は”燕三条”だけど、高速道路のインターは”三条燕”だからねえ。那須塩原なんて妥協の産物が今では那須塩原市だし、アニメをきっかけに仲良くなれば、作中のせるふとぷりんみたいで良かったと思うのだが

 

平家物語 2.8
ご存じ鎌倉時代の軍記物語である平家物語をアニメ化した作品。平家物語と言うと吉川英治の新・平家物語が有名で、これを原作とした映像作品が作られているが、本作は古川日出男平家物語を原作としている

アニメ制作をサイエンスSARUが担当していることもあって癖のある作画だが、パステル調の画は歴史絵巻風で世界観を表現出来ている。それと軍記物語でありながら戦争のシーンはかなり少なめ。一番は尺の都合なのだろうが、政にフォーカスさせる目的もありそう。政だけでも十分面白いし、女性監督・脚本らしい選択だと思う

本作で一番特徴的なのは平家物語語り部である琵琶法師をアニオリキャラとして取り込んでいる所。琵琶法師の少女びわを通しての話は平家や朝廷だけでなく一般庶民の暮らしぶりにも触れているが、特に必要なかったかなと思う

ストーリーは序盤こそゆっくりだが中盤からは怒涛の展開。登場人物がもの凄く多い上に展開が早すぎて追うのがやっとって感じ。平家物語をアニメ化する意義は普段歴史に興味がない人に興味を持ってもらう機会を作るのが目的の一つだと思うが、これではね。まあ、ダラダラしているよりは面白さは伝わるだろうし、本作視聴をきっかけに(自分で)歴史を勉強しろってことなのかね

登場人物初登場、イベント(〇〇の戦い)時に字幕を入れる、各話冒頭で家系図を出すとか前話の内容をおさらいするとか工夫があったら良かった。それと2クールだとダイジェスト感が薄まってもっと話に立ち入れた筈。大河ドラマは1年かけてやる訳だが、流石に4クールは長すぎる気がする

大河ドラマ好きにとっては現在放送中の鎌倉殿の13人とオーバーラップするので凄く楽しめるだろう。ただ、上述の通り歴史に興味がない人向けの作品としては不親切で損している感じ。勿体ないなあ

 

ポプテピピック(2期)  2.8
良くも悪くも現状維持って感じ。明らかに労力がかかりそうなストップモーションアニメはなくなったが、作画クオリティは高い。内容はコーナーが減ったが、ノリは1期と変わらない。声優の無駄遣いも相変わらず

ただ、2期は配信がアマプラ限定。アマプラは他の有料配信に比べれば加入者が多いと思うが、1期は無料配信含め多くの配信サービスで同時配信していたからねえ。この作品に限ったことではないが、特に本作は細かい仕掛けがあったりして、それがSNS等で話題になってナンボなので、アマプラ限定だとどうしても盛り上がりに欠けてしまう

あと、1期と2期の間にもスペシャルとかやってかなり派手な仕掛けをしていたので、それに比べると地味なのは否めない

3期があるかどうかは知らないが、15分x2のパターンも食傷気味の人が多いと思うので何らかのテコ入れは必要だろう。ショートアニメでもいいと思うけどね

 

・アキバ冥途戦争  2.8
P.A.WORKS制作の”お仕事系”オリジナルアニメ。同社制作の『パリピ孔明』は面白かったが原作がある作品。オリジナル作品だと良くも悪くも質実剛健って感じで正直面白いとは思えない作品が多い印象だが、果たして本作は如何に

タイトル通り秋葉原のメイドの話だが、冥途戦争と物騒な字が当てられているように本作はメイドカフェグループ間の抗争を描いた任侠モノというP.A.WORKSらしからぬ攻めた設定。今クールは”忍侠モノ”を名乗る出来損ない作品も放送されているが、最近のヤクザを描いた作品は強面とのギャップで笑いを誘う日常系コメディがメインだけに、言葉は変えているとは言え、ここまでヤクザらしいヤクザを描いた作品は最近だと珍しい

ただ、メイドヤクザという設定を活かしきれているかと言えば微妙。トンデモ設定故に笑える所は多く、血生臭さが和らいでいるところはあるのだが、ヤクザものだとどうしても嵐子が目立ってしまうので、後半の前半辺りの話が中弛みに思えてしまう。それに強引になごみが主人公らしいエピソードで締めようとしたので、終盤はかなり雑で無理のある展開に。1.5クールなら終盤ももう少しゆっくりとした展開で幹部目線の話を入れてストーリーを補えただろうし、中弛みもアニメらしい説明方法だと思えただろう。ただ、本作は1クールなんでもっとストーリーや設定を練って欲しかった

脱マンネリの意欲は買うが、上述の通りシナリオの完成度が低いのも事実。寧ろ、任侠抜きで押忍!番長のような非暴力コメディ路線での抗争の方が他のキャラも目立てて良かったかも。店長のダメ人間っぷりは相当なもので十分キャラが立っているのだが、こういうシリアス路線だとノイズにしかならんのよね

 

・明日ちゃんのセーラー服 2.7
同クール、制作も同じCloverWorks、美少女ものと言うことで「その着せ替え人形は恋をする」と比較されそうだが…。本作も着せ替え人形同様、作画は素晴らしい。作画が良いので少女や風景が映える

本作はかなり癖があるので好き嫌いは分かれそう。まずはキャラデザ。顔が横長でかなりの垂れ目なのは珍しい。それと何と言ってもフェティシズム。セーラー服フェチ、脚フェチ。…。作画はいいし、全体的に中1の割には発育がいいので余計に艶めかしい

反面、ストーリーはかなり薄い。体育祭(の準備)に尺を割き過ぎたのは失敗のように思う。このせいでだいぶエピソードを削ったようなので。取捨選択は必要だが、本作の良さは自己紹介でパンツ全開ショーをやらかすような明日ちゃんの突拍子もない行動で友達作りをするプロセスを描くところにあると思うのでかなり不満が残る

それと本作はツッコミ所に事欠かないが、それも明日ちゃんの思い切った行動をメインにすればそういうキャラなんだってことになると思うのだが

1期では4巻の途中までアニメ化したようなので、もし2期があれば6,7巻の東京旅行の話がアニメ化される筈。東京旅行の話はこれまでとは打って変わって重い内容を含むようなので、この作品の印象も変わりそうだ

 

・リーマンズクラブ 2.7
バドミントンを題材にした作品。制作のライデンフィルムは当たり外れが大きい印象だが、過去に「はねバド!」でバドミントンを手掛けていることもあってバドミントンの迫力が伝わる作画になっている

本作の斬新な所は所謂実業団を題材にしている所。スポーツ物は学生がメインで、その延長でプロになってからを描く作品がチラホラあるかなと言う印象。実業団と言えども、一般の業務はしない実質プロから、午前は仕事午後は練習の所、ほぼフルタイム働いた後に練習と待遇にはかなり差があり、本作でも対照的に扱われている

ただ、後者が不幸かと言えばそうは言えない。確かに競技を続ける上ではハンデになるだろうが、生涯一選手という訳にはいかないのが人生。前者では監督・コーチになれなければ退社することになるが、後者なら今後は社業に専念することで会社に残れるので人生設計が変わってくる

それに、いくらスポーツマンとはいえ最低限の礼儀はなあ。本作はライバル達の不遜な態度が鼻につくが、これは競技にだけ目を向けているとスポーツバカになると言う当て付けなのだろうか。まあ、今の時代「有名人だから」で何でも許される時代じゃないからねえ

余談はこれ位にして、ここからはいちゃもんタイム。まず、中途半端に世界ランキングとか持ち出さないこと。本作では世界ランク上位の選手にリベンジする機会が結構訪れるが現実は…。他競技でもそうだが世界ランク上位の選手は海外の大会がメインになるので実業団の大会にはなかなか出る機会が無いと思うが。日本でトップレベルの選手を見られるのは全日本とジャパンオープン位だろう

次にライバルが多すぎる。例えば高校時代のライバル、大学に進学して別のライバルとかならいいが、同時に3つのチームがライバルでは1クールのアニメじゃ発散するだけ。ライバルは実在する(した)企業である日本ユニシストナミ運輸をもじっていてバドミントンに理解がある企業を出したいのは理解できるのだが

それから最悪なのが社内のゴタゴタ。池井戸潤ノーサイド・ゲームに感化されたのだろうが場違い感が半端ない。池井戸潤の作品はあくまで企業目線、本作は選手目線だからなあ。それに百歩譲ってこれがアリだとしても、専務他茶番に関わった連中にお咎め無しは流石にあり得ないだろう

全体的にベタではあるが、それで構わないと思う。実業団を扱っている時点で十分目新しいしね。主人公が選手として社会人として成長していく過程、社会人ならではの引退・復帰のあり方等を描ければ後は試合をじっくり描けば十分。余計な要素をぶち込んでも試合描写は削られる、ストーリーは纏まりが無くなり陳腐化するだけで良いことは一つもない

愚直に王道を行けば傑作になり得ただろうに池井戸潤に目が眩んで並レベルの作品に。残念だ

 

・4人はそれぞれウソをつく 2.7
橿原まどかによる漫画のアニメ化。本作を端的に言うと『SPY×FAMILY』☓『あそびあそばせ』ってところか。それぞれ人に言えない秘密を抱えた4人の女子中学生の学園生活を描いたナンセンスコメディ

序盤は設定を活かせてないなって感じるが、中盤以降は設定を活かした話になる。ただ、”普通の人”役の翼(剛)はいいとして(女子校に男子は普通ではないがw)、宇宙人(大佐)のリッカとサイキック(超能力者)の関根に対して抜け忍の千代は(設定的に)弱過ぎる感じ。まあ、戦闘力は高いのだが

あと、もう少し粘れなかったかね。全11話と1クール作品としては1話足りない感じだが、原作は全3巻で完結している。ダラダラ続くよりはいいと思うが、秘密がバレかかっている状況が面白いのに。それと本作の弱い所として脇役が印象に残らない。『あそびあそばせ』はメインの3人も強烈だが、前多とかオリヴィアの兄とか脇役もかなり脂っこいからねえ

採点が示すようにそこそこ面白いが、もう一押し欲しい。そんな作品

 

・彼女、お借りします(2期) 2.7
2020年に1期が放送された宮島礼吏による同名マンガ作品のアニメ化の2期目

1期に比べると良く言えば落ち着いた感じ。第1ヒロイン=千鶴の印象がより強くなり千鶴の心境の変化を丁寧に描いているが、反面他のヒロインの影が薄い。瑠夏はともかく、麻美と墨はぶっちゃけ必要ないと思う。キャラはそれぞれ個性があるが、ストーリーにどう絡めるかもう少し考えて欲しい。まあ、原作は32巻まで出ているから、これから重要な役回りなのかも知れないが

今期で原作の12巻までをアニメ化したと思われる。テンポとしては速い方だろうが正直2期は繋ぎの印象で、ここから話が大きく動くのか。3期は映画作りの話がメインになりそうだが、そろそろ麻美が暴れてくれないと。2人の関係をバラすだけなら性悪女でなくてもできる訳で、流石にプラスαがあるのだと思うがどうなのかね

 

鬼滅の刃(2期) (無限列車編+遊郭編) 2.6
無限列車編と遊郭編に分かれているが、採点はトータルで。一応、各編毎の評価もするが

- 無限列車編 - 1.5
この神作画の神作に何て点数をつけるんだとキメヲタに怒られそうだが、一言で言うと「無限列車編はTVシリーズに必要か?」

当然ストーリー的には必要で。無限列車編を2期に組み入れたのは1期は勿論、映画も未視聴組を引き込む為なのだろうが、未視聴組に"映画"を見せる必要があるのか疑問。映画が見たいならレンタルや配信で見ればいいし、これからも無料放送はあるだろうし。それに映画の内容をTVシリーズでやるとなると映画は観なくてもいいやと言う風潮になりかねないと思うが。キメヲタは太っ腹だから円盤も買うし、そういう心配は杞憂なのかね

流石に(映画の)無限列車編を分割するだけなのは意味がないと思ったか事件の前日譚的な内容が追加されているが、これってファンディスク的な内容で本編でやるべきなのか疑問

映画は映画の尺の中で盛り上がり所を作るために話を引っ張る必要もあるだろうが、TVシリーズはシリーズ全体での話で無理な尺稼ぎは必要ない筈だが。中弛みの典型である目覚めるまでの所や煉獄が死んでからの話とか大胆にカットしていいんじゃないの。遊郭編は原作4巻分を11話で纏めているのだし。正直、ストーリーの深さで勝負する作品ではないと思うし、超絶作画でテンポ良く戦闘シーンを見せるのがアニメ版鬼滅の刃の最大の長所だと思うのだが

- 遊郭編 - 3.3
TVシリーズ1期の立志編、映画の無限列車編も作画レベルは非常に高いが、本作では更に上回る出来。この作画で描かれる戦闘シーンは圧巻である

ストーリー的には特に強調する点はないが、誰がどう倒すのか読めない作りになっているのは評価できる。ただ全体的に冗長。頻繁に挟まる回想はテンポの悪さにつながっているし、戦闘終了後なのでまだマシだが鬼の過去話は必要なのか?

蜘蛛の回でも過去話があったが、確かに気の毒な境遇とは言え結局何事もなかったかのように斬るんだし単なる尺稼ぎにしか映らんのだが。まあ、泣けると言う人も多いみたいなので必要なんでしょ

声優陣は有名声優目白押しって感じだが、堕姫を演じた沢城みゆきと妓夫太郎を演じた逢坂良太が印象に残った

気になった点は指摘されてキメヲタが発狂していた三味線。確かに義太夫の三味線みたいで違和感がある。これで減点と言う程ではないが、折角の作画だしオリジナル設定に関係ない部分はきちんとして欲しかった。それと女性の露出が多いのもどうなのか。おっさんにとってはラッキーだが(笑)、大正時代にこれはねえ。それと皆、胸が立派なのも違和感が。まあ、少年漫画のお姉さんはたわわな胸の谷間がお約束ってことかね

 

・ヒーラー・ガール 2.6
ヒーラーと聞くとRPGの回復役で舞台は仮想世界かと思うが、本作の舞台は現世。ヒーラー=音声診療医と言う攻めた設定だが、音声医学が万能と言う訳でなく西洋医学東洋医学と補完しあう立場であってぶっ飛んだオカルトアニメが展開される訳では無い

寧ろ、地味で手堅く作られた作品だろう。各々が音声診療医を目指した理由はしっかり掘り下げていて、ストーリーにも大きく関係してくる。キャラの性格付けもきちんとされている

音声診療は抽象的な概念だが、それをイメージ化して捉えやすくしている。見習いである主人公達とベテランの音声診療医ではイメージのリッチさに明確な差がある。ベテランヒーラー役の高垣彩陽は歌唱力には定評があるだけに素晴らしい歌唱を見せてくれるし、若手も瑞々しい感じが出ていてとても良い。作画は全体的に明るい感じで、ヒーリングのイメージをファンタジックに表現している

ただ、ちょっと"薄い"かな。見やすい作品にしたいのは分かるのだが、もう少し医療アニメとして内容を掘り下げた方が良かった。それが無理なら、もっと歌を前面に押し出すべきだっただろう。序盤こそ診療以外も歌、歌でミュージカルアニメ色が強いが、段々と診療以外の歌は減っていく。手堅く作るのは悪くないが、個性も失われてあまり印象に残らない作品になってしまった感がある

 

・森のくまさん、冬眠中。 2.6
所謂、僧侶枠の作品だが、良くも悪くも僧侶枠らしからぬ作品。最近はストーリー性が強くなっている僧侶枠の作品だが、本作は理由が動物の特性を活かしたもので納得度が高く、ほんわかとした心温まる話でストーリーの完成度はこれまでの僧侶枠の作品の中で一番だろう。いい意味で僧侶枠のイメージを払拭する作品だと思う

ただ、結局エロ(しかも、敷居が高いBL)だし、エロシーンカットで1話3分30秒程度なので話を大きく展開させるのは無理だからねえ。僧侶枠らしい強引な展開がありつつの基本的には丁寧に話を紡ぐなら良かった。話の完成度は高いが、あまり印象には残らない

本作をノワとアイリの関係に絞ったのはいい判断で、このボリュームで2組の話を展開させるとどっちつかずで"薄い"作品になるのは目に見えているからなあ。もし2期があれば、もう1組のカップル(?)も絡んでの話になるだろうから話も膨らむだろう

 

2022年に放送・配信されたアニメレビュー(その2:評価1.8-2.5)に続く