2022年に放送・配信されたアニメレビュー(その2:評価1.8-2.5)

2022年に放送・配信されたアニメレビュー(その1:評価2.6以上)の続き

 

・てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!! 2.5
声優三姉妹【チームY】が原案協力しているメディアミックス作品で、まずは漫画「てっぺんっ!!!」がスタート。本作は漫画を原案としたオリジナルアニメ

チームYの3人が扮する漫才トリオ「ヤングワイワイ」がお笑いコンテスト「てっぺんグランプリ」を目指す設定は共通だが、アニメではライバル4組と共にタカコ荘で合宿生活を送りながらのドタバタ日常系コメディになっていて、漫才色は薄くなっている

漫才色が薄いのは賛否両論だろうが、個人的には大英断だと思う。漫才を題材とした作品は最近だと「まえせつ!」「其れ、則ちスケッチ。」等があるが、ハッキリ言ってイマイチにも届かないレベル。漫才の間やテンポ、(会場の)空気感を表現するのが極めて難しい印象

タイトルの!は人数を示していて、漫画ではヤングワイワイの1組(3人)だが、アニメでは他に4組(12人)が加わり15人に。15人を1クールで捌くのは普通に考えれば地雷警報だが、基本トリオでの行動が多いし、ビジュアル的にもキャラクター的にも個性的で誰が誰だか分からない状態にはならない

演技が全体的に大きいが、一応お笑いを題材にしている上にドタバタコメディなので違和感はない。小ネタ(パロディ)がふんだんに盛り込まれているが、ジャンルが多岐に渡る上に古いネタも多いので、若いアニヲタや声優目当ての人には厳しいかも

ただ、凄く面白いかと言われるとそこまでではない。坂田銀時のいない銀魂って感じだが、銀魂ほどの切れはない。あと最後は中途半端。漫才はオマケなんだし、無理にてっぺんグランプリに繋げなくても良かったと思う

 

・殺し愛 2.4
全体的に見ればそこそこ纏まった作品だと思うが、色々と損している作品。タイトルが昭和っぽいし、1話を見るとナンパな殺し屋の寒いプロポーズを永遠に見せられるのかとウンザリしてしまうが、3話位まで見れば明らかに訳ありなのは分かる。タイトルも最後まで見れば納得

中途半端と言うよりは捉え所の無い作品と言うべきか。キャラデザは女性向けに見えるが乙女ゲー要素は少ないし、ラブコメかと言われればそういう要素はあるがコメディ要員は寧ろ天﨑滉平演じるジムだし、サスペンスかと言われればストーリー進行上過去が分からないから必然性に乏しくて緊迫感に欠ける

色々な仕事(事件)に関わりながら少しずつ主人公達の過去が明らかになるストーリーかと思いきや(現在進行形の)事件はおまけのようなもの。本作のメインテーマはあくまでシャトーとリャンハの過去。事実が少しずつ明らかになりながら二人の過去がクロスオーバーしていくのは面白いし、アニメと言うよりはドラマのような脚本。OP、EDも大人な雰囲気で、本作はアニメをあまり見ない人がドラマを見る感覚で見る作品なのかなと思う

本作は原作の7巻辺りまでをアニメ化したと思われ、1クールの作品としては消化が早い方。ただ、これでも冗長に感じる。ストーリーの区切り上ここで切りたかったんだと思うが、10話位で纏めても良かったように思う

 

・スローループ 2.4
可愛らしいキャラ、アウトドア、明るいボケ役と無口なツッコミ役と言えば某キャンプ作品を思い出すが、本作はアウトドアはおまけ要素でしかない

本作の題材になっているのはフライフィッシング。本作を見ていればフライフィッシングの知識は身に付くと思うが、魅力が伝わるかと言えば…。フライフィッシング自体が地味だし、作画は普通だし、釣りに割くべき尺を料理にも振っている感じだし

また、本作の登場人物はやたら重い過去を背負っているが必要なのか。過去を掘り下げる訳じゃないし、内容の発散、テンポの悪さにしか繋がっていない

これは小生は気にしない要素だけど、本作の舞台は横須賀だが、主人公達は暇さえあれば釣りだし、横須賀以外の場所に釣りに行くことも多く横須賀観光要素は皆無。バイトしている店は横須賀海軍カレー本舗をモデルにしていると思うが

本作は所謂日常アニメで、家族愛をはじめとしたアガペー溢れる日常生活を送るうちに心の澱を取り除いていって自分自身に素直になっていく様を描く作品なのだろうが、正直ドラマの方が良いかも。アニメ向きの作品ではないと思う

アウトドアと言うと、最近だとゆるキャン△とか放課後ていぼう日誌等がアニメ化されているが、アウトドアの魅力と緩いギャグと言うノリではないので、ああいう作品が好みの人向けではないと思う。スーパーカブとかきららだと恋する小惑星辺りの作品が好きな人向けだろう

 

・王子の本命は悪役令嬢 2.4
所謂僧侶枠。最近の僧侶枠はパロディが多いが、乙女ゲーの世界に転生する本作は「はめふら」辺りを意識しているか。ただ、「はめ」は破滅じゃなくて〇〇〇をはめるだが

転生RTAと呼ばれるようにあまりに呆気ない転生劇は笑える。この手の作品はテンポが悪いものが多いからアンチテーゼになっているし。ただ、僧侶枠=AVみたいなものなのでストーリー展開に関しては強引で構わないが、世界観はきちんと提示して欲しかった。鬼詰のオメコが評価されているのは鬼滅の世界観を表現できているからだと思う

それと作画が…。バラツキが酷すぎる。コメディとしては良くてもエロとしてはなあ。この作画レベルでは課金して全開バージョンを観たいとは思えない

僧侶枠にしてはストーリー性が強いしツッコミ所も多いので、ニコ生等でコメントしながら観るとより楽しめるだろう

 

・であいもん 2.3
タイトル的に「ばらかもん」と比較してしまうが、疑似親子が絆を深めていく過程を描いているのは共通している。ただ、本作は大人の世界を描いた作品なので、ばらかもん程はっちゃけた感じではない

本作は全12話で、各話が時系列で等間隔ではないが和菓子と京都(近郊)の風景で1年を表現している。緻密な心理描写、特に女性の恋心の描写は女性らしい目線だと思う。作画は今時のくっきりとした描画でなく水墨画っぽいタッチだが、京都の雅と周りが温かく一果を見守る感じが出ていて作品にマッチしている

ただ、正直まずまずの作品って感じで引き込まれるかと言われると…。その最たる原因は設定が雑な所。まず主人公の片割れの和。チャラ過ぎる。周囲は気難しい人が多いので対照的に描きたいのだろうし、チャラさは人当たりの柔らかさに繋がっていて悪く描こうとしていないのは分かるのだが、作品中で明らかに浮いているし演技のせいもあると思うがくどい感じ

それからもう一人の主人公の一果。和になつかないのはいいとしても毛嫌いするのは何故?父や母のことは恨んでいる訳でもないようだし。父の代わりはいないと思っているにせよ、毛嫌いする理由に乏しいように思える

更に脇役たちもなあ。多すぎるし、脇役の中でもっと強弱をつけないと。1クールしかないのに群像劇風味。それに加えて主人公の性格に感情移入できないから余計に発散した感じを受けてしまう。原作がこうなのかも知れないが、原作の忠実なコピーがいい作品とは思わないしもっとブラッシュアップして欲しかった。凄く勿体無い感じ

 

・炸裂!あまびえ姫。 2.3
テレ玉で放送された5分アニメだが、YouTubeでも視聴可能。アマビエは疫病封じの妖怪だが、本作の設定には関係ない。ただ、コロナ禍に着想を得たのだろう

ストーリー性は皆無で、毎回、あまびえ姫と執爺が困っている人を助けたり助けなかったりする作品。キャラデザは子供向けアニメに見えるが、シニカルな話も多い。パロディネタもシニカルの代名詞と言える笑ゥせぇるすまん等、子供じゃ元ネタが分からないかも

基本的には気まぐれな姫のゆるい話だが、上述のようにシニカルな話もあるしショートアニメなのでテンポは悪くない。ただ、あまりに自由過ぎる。登場の仕方もアマビエの似顔絵を書いて呼び出した人を助けるのが基本パターンだが、気まぐれで登場したり、解決方法もシニカルな話もあるが、その逆に励ましたりする内容もあったりで落ち着かない。どちらかは固定にした方が良さそうだが

それと本作もショートアニメにありがちな似非声優多数起用パターン。主要キャラのあまびえ姫と執爺は悪くないし、内容的に演技で台無しという感じではないが、パンダ商法は時代錯誤だと思う。YouTuberのファンが見てくれると言っても、視聴するのはごく一部。似非声優多数起用の時点でアニメファンから地雷扱いされるし、コストカットが目的なら声優さんに色々な役をやって貰った方が安上がりだと思う

 

・ハーレムきゃんぷっ! 2.3
放送開始前に炎上騒動があったが無事放送。僧侶枠なんてAVと一緒で結局ヤるのがお約束で、視聴者側は強引でリアリティに欠ける展開を笑いながら見るものだと思うが、良くも悪くもクラスタ化が進んで価値観を共有するのが極めて困難なご時世、「真に受けるな」は通用しないのだろうな。ただ、価値観を共有できない社会では規制は一番厳しいところに合わせられるようになることは頭に入れておかないと

タイトル通り、某キャンプアニメ(漫画)のパロディになっていて、登場人物(犬)は勿論、キャンプシーンで流れる音楽も本家っぽいサウンドになっている。しかし、キャンプシーンは少ない

股間のテントは常時設営中な高校(?)教師も相当酷いが、キャンプ部の生徒達もお股がゆるキャン△で大概にせえやって感じで、事前に混浴風呂で張り込んでいる教師を分かっていながら誘惑しにいく生徒といった斜め上の展開は笑える。生徒の中で唯一貞操観念がある志摩リン的ポジションのハルキも結局…

但し、僧侶枠なんてこんなものとは言え余りに内容に乏しいのも事実。もう少しキャンプシーンを多くしてゆるキャン△パロディ色を強くして欲しかった。個人的には大人のキャンプ道具を大塚明夫のナレーションで紹介してくれれば最高だった

 

ヤマノススメ Next Summit(4期) 2.3
しろ原作の漫画「ヤマノススメ」のアニメ化で、本作は4期目。過去作は未視聴だが、本作は最初の4話が3期までを振り返る内容なので視聴してみた

JKのアウトドアものと言えば「ゆるキャン△」が思い出されるが、「ゆるキャン△」よりコメディ色が薄く、登山に関してはかなりシビア。ここまでに登っている山はガチ勢じゃなくても登れる山だが、いい加減な姿勢で臨むことなかれと登山の楽しさだけでなく厳しさも思い知らされる内容になっている

ただ、本作の評価は最初から観ていた人とそうじゃない人とで大きく分かれるだろう。最初から観ていればあおいが満を持して富士山にリベンジして万々歳って思えるのだろうが、途中から観た人にとっては何となく富士山に再アタックしている感じにしか思えない

総集編で過去に富士山に登頂を試みて失敗しているのは分かるのだが、5話からの本編に上手く繋げていない。特に5話、6話と立て続けに新キャラ登場になるのは大きなマイナス。ただでさえ展開が早いのに、キャラへの理解が深まる前に富士山の話になっちゃう感じ

5話のキャラは本当に新キャラみたいだが、6話のキャラは過去作を観ていれば新キャラではないようだが本作から観た人には分からない。いつバイトを始めたんだよw4話のBパートはダイジェストじゃなくてキャラ紹介にしておけば、新規勢がスムーズに本編に入れたと思うのだが。制作陣は新規勢なんていないって思っていたんだろうか。全部アニメ化するつもりならまだまだ先がありそうなのに、みすみす新規を取り込むチャンスを逃すのは勿体ない

作画は悪くない。総集編には新規カットも入っているようだが、作画が向上しているのが分かる。写真のようとまではいかないが、山からの風景は作画も力が入っているのが分かる

 

・八十亀ちゃんかんさつにっき(4期) 2.2
名古屋愛溢れるアニメもついに4作目。本作ではストーリー性が強く、写真部存続ネタを1クール引っ張るとは某フットサルアニメかよって感じだが、1話3分なので30分アニメなら2話途中位。小ネタメインだしこんなもんかね

今作では関東出身キャラが大量に加わったが失敗だと思う。本作は飽くまで中部ネタがメイン、関東キャラも結局東京に対して卑屈になっているのは変わらず、それをベタネタでやられても面白みに欠ける

5期があるのか分からないが、翔んで埼玉なんかと一緒でこの手の作品は原作のエッセンスさえ押さえていれば原作に忠実である必要はないと思うし、新関東キャラは今回で終わりで。ただでさえキャラが多いのに更にキャラを追加するとすればリストラは必須だろう

P.S. ローカルスーパーネタはもっと話数を使えばいいのに。岐阜に神奈川のスーパー、ロピアが進出した際はオープン初日に大行列ができたらしい

 

・よふかしのうた 2.2
コトヤマの漫画作品のアニメ化。タイトルの「よふかしのうた」はCreepy Nutsの同名曲に由来していて、アニメのEDにも使用されている

本作で特徴的なのはタイトル通り主人公(達)が夜更かしをする話なのでシーンの大半が夜なこと。その夜の表現が特徴的で空こそ暗いものの、街のネオンを強調してかなり明るいイメージで本作の独特な雰囲気に一役買っている

ストーリー的にはボーイミーツガールからの青春群像劇。特に思春期に多い恋愛の悩みだけでなく、誰しも悩みを抱えて生きているもので社会不適合者と卑下することなく生きろという人生讃歌が根底にある

ただ、面白いかと言えば正直微妙。あまりに展開が遅すぎる。その割にはナズナが何故、眷属作りに拘らないのかとか肝心な話には触れないし。後半になって話が動き出すが、展開が遅すぎたせいか中途半端な終わり方だし、何よりそこまで興味が続かない人も多そう。序盤から虚々実々の駆け引きがあったり、心情が揺れに揺れまくるって話じゃなく、寧ろ話が進んで他の人の話を聞いて心情が揺れているからねえ。まあ、大人から見たら他愛のない悩みでグダグダしている様は青春ジュブナイルって感じではあるが

本作は原作の5巻位までをアニメ化したと思われ、最後はアニオリっぽい終わり方。現在15巻まで行っているみたいだし、最後までアニメ化できなくても2クールならだいぶマシだっただろう。しかし、急遽1クールになったならともかく、最初から1クールしか無いのなら脚本に一工夫して欲しかった

EDだけでなく、OPや挿入歌もCreepy Nutsの楽曲だが、作品に合っているかと言えば…。風景こそオシャレな感じだが、中身は青臭いからねえ。ただ、HipHop自体、若者文化の象徴で、背伸びしている所もあるという点では合っているのかも

キャラデザにも癖があるし、人を選ぶタイプの作品の典型。話が動き出すのは後半とは言え、2,3話見て合わないと感じたら最後まで見ても一緒だろう。本作が好きという人はストーリー以外の所に魅力を見出していると思われる

 

・おにぱん! 2.1
人間と鬼が共存する世界で鬼っ子達が鬼のイメージアップの為に奮闘する話。テレ東系の「おはスタ」内で放送され、月~金曜日の5回で1エピソードが展開される形

基本ゆるい日常系。パロディや小ネタが多く笑えるが、子供向け番組で放送している割には古いネタもある。作画はWIT STUDIOにしてはまずまずと言ったレベルだが、日常系だしアクションシーンはしっかりとしている。キャラは可愛いし、主要人物は多くないので覚えられないようなこともない。主題歌(ED)は前半と後半で違う曲だが、どちらもクオリティは高い

それでもこの評価なのは本作には超弩級の地雷が控えているから。主役の鬼っ子3人は素人声優で1話から超絶棒読みが炸裂する。基本ゆるい日常系なので声優で台無しとまでは言わないが、前半のエピソードはしんみりするような話もあり、それをこの演技でやられてもね…。後半になると演技に慣れてきたのは実感できるが、それでもプロの声優とは演技力に大差があるしシリアスエピソードは必要なかったと思う

1話放送時点で炎上したようだが、配信はAbemaやニコ生等無料で見られるサイトでは無かったのは彼女達にとっては救いだっただろう。下手と言われるのは当然にしても、これだけ声優がポピュラーになっている時代に超絶ド素人を起用する神経を疑う

 

・その着せ替え人形は恋をする 2.0
本作を一言で言うと中途半端。ストーリーのテンポは悪くないが、新菜の今時の学生らしからぬ言葉遣いがコメディとしては致命的。いくら女性に慣れていないとは言え、ある程度仲良くなったら流石に敬語はないでしょ。ましては高校生だしねえ。海夢は普段は活発なのに、男女を意識するとよそよそしくなるのはラブコメらしいが

途中の話で出てくる乾姉妹をもう少し絡めればラブコメらしくなったかも。新菜同様口下手だがダイナマイトバディの乾妹がボディランゲージとばかり新菜のDTを奪うとかなら一気に修羅場を迎えるが、流石に炎上しそうだし、描きたいのはラブコメじゃないんだろうな。本作のファンもそういうのは望まないんだろうし

コスプレに関してはコスプレの衣装作りや撮影に関するノウハウ等も取り入れられているし、コスプレ会場に出向いたりして新たな人と知り合ったりする様子が描かれているが、本作におけるコスプレは手段だろう。同様に雛人形作りについては雛人形こそ出てくるものの、作っているところは殆ど描写されない。舞台が(人形で有名な)岩槻だし、もう少し雛人形作りに関する話があっても良かったと思うが1クールでは難しいか

本作の作画は良好なのでコスプレは映えるし、海夢は乾妹程ではないがメリハリボディで見られることをあまり気にしないのでラッキースケベは堪能できる。いくら過激なシーンでも海苔じゃ興奮しないからね…

ただ、本作はコスプレを通じて自分の殻を破り成長していく過程を描くのがメインと思われるので作画の良さが活きているとは言い難い。心理描写メインならドラマの方が良さそうだが、このタイトルだと誤解を受けるか。まあ、「妻、小学生になる。」を22時台に放送できる位だし、深夜ドラマなら何の問題もないだろう

 

異世界美少女受肉おじさんと 2.0
毎クール大量に作られる異世界転生もの。他の作品といかに差別化するかがポイントだが、本作はおっさんと(美少女に転生した)元おっさんのラブコメ

作画はこんなものだと思うが、キャラデザはイマイチ。イケメンの神宮寺はサラリーマンならこんなものかなと思うが、美少女の橘は可愛いが端正な顔立ちとは言い難い。この姿で簡単に魅了されるかね。まあ、設定と言われればそれまでだが

神宮寺と橘の掛け合いはM・A・Oが演じる橘の演技もあって面白いが、パターンが限られるので食傷気味。それと頻繁に挿入される回想がテンポを破壊する上にエピソードがまともなので面白くない。ギャグアニメに常識人はいらんから。ストーリーもありきたりだし、ショートアニメが良かったかも

全体的に緩い雰囲気だし、普段異世界ものを観る人向けの軽めのコメディなのだろう

 

・邪神ちゃんドロップキックX 2.0
邪神ちゃんドロップキックも3期目。アニメ製作資金をクラウドファンディングふるさと納税で集めたり、切り抜き動画対策に公式自ら細切れ動画をアップロードするなど前衛的な試みが目立つ

但し内容の方はどんどん保守的に。まずキャラが多すぎる。2期でも多すぎたのに更に増えたからなあ。明らかにキャラを捌き切れてない。それにいくら日常系コメディとは言え何が軸なのか分からない。時折、思い出したように(本来の目的である)邪神ちゃんが(花園ゆりねを殺して)魔界に帰ろうとする話が挟まる感じだし

それから旅行回が多すぎる。2期でも北海道旅行に行っているが、今回は釧路、帯広、南島原富良野と4週連続はダレる。最近は聖地ビジネスが盛んで自治体とwin-winの関係になれるなら悪くないが、そう上手くはいかないもので。本作の内容について富良野市議会で揉めたが、自治体が求めがちな無難な内容は邪神ちゃんのアングラでブラックな笑いとは相容れないばかりか、マイナーアニメの無難な話で聖地ビジネスが成り立つ程甘くはないのが現実

アニメを作るのに金がかかるのは当然だし金集めは結構なことだが、内容を指図されないようにする必要はあるだろう。まあ、それ以前にキャラをリストラしないと厳しい。どんどん中途半端になっている印象で、今のままだと尖ったアニメとしても(キャラ推しの)緩めのギャグアニメとしても埋没してしまいそうだ

 

・PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL 1.9
モルモットが車になったモルカーの日常を描いたストップモーションアニメの2期。今回はタイトル通り、舞台が自動車教習所になっている

製作期間は短かったと思うが、映像のクオリティは保っている。モルカーは相変わらずコミカルで可愛いし、どことなくアメリカアニメっぽい雰囲気は変わらない

ただ、ストーリー面では正直劣化した感じ。1期で監督を務めた見里朝希は一歩引いたスーパーバイザーになり2期では小野ハナ監督になっているが、1話内でのメリハリもちょっとシニカルな目線もなくなって、ストーリーにダラダラ感がある

その分、キャラ推し感が強くなったのと、ほっこりするようなエピソードが増えた感じ。でも、キャラ数はもっと絞るべきだったと思う。ショートアニメ12話だと30分アニメなら1.5話分程度なので、多くのキャラを印象付けるには尺が明らかに足りない

シニカルな目線とかいいから、とにかくモルカーの可愛らしさを堪能したい人にとってはいいのかも知れないが、見里監督の作風が好きな人にとっては満足度は低いだろう。3期があるのだったら見里監督復帰を願いたい

 

・シャインポスト 1.9
コナミデジタルエンタテインメントとストレートエッジによるメディアミックス作品。ゲームはまだ発表されていないようだが、メディアミックス=ソシャゲ展開=キャラクター過多の悪循環に陥りがちな上に今季だけでも何作もあるアイドルもの。地雷の予感しかしないが…

本作の特徴として、最近の作品にしては珍しくメンバーを掘り下げるのにじっくり尺を使っている。他のグループを含めてそれなりに登場人物は多いが、描きたいのはTiNgSのメンバーとマネージャーで他のキャラとは明確に強弱がついている

ただ、面白いかと言われるともう一息。テンポがあまり良くないし、とにかく盛り上がらない。一言で言えば1クールアニメの脚本じゃない。メンバーの掘り下げにかなり尺を使っている上に終盤の話はもっと先を見据えての展開に思えるので、最終目標に向けて全力でって感じが伝わってこない

各キャラ毎のエピソードも没個性的で面白くない。メンバーを慮っての行動ってことにしないと炎上しかねないのもあるのだろうが、だったらそうじゃないだろって言いたくなる

その一つの要因がマネージャーの特殊能力。これ考えた奴アホだろ。嘘も方便と言うように嘘が絶対にダメとは思わないし、何よりマネージャーとメンバーが理解を深めていく過程に意味がなくなる。ペカるかペカらないかって…、ジャグラーかよ

それとマネージャーの女も必要ない。特殊能力よりはマシだが、ただでさえ盛り上がらないのに興味がそちらにいってしまうからねえ。まあ、全ての道は○に通ずは悪くないしタイトル回収に繋がる話ではあるが、1クールアニメなんだし取捨選択しないと

あと声優が…。新人アイドル役なのでまだマシだが、声優としてキャリアを積んでいる人とそうでない人が混ざっていて露骨に実力差がある。ただ、もっと問題だと思うのは歌唱の方。下手って程ではないけど、もう一つ印象に残らない。グループだと埋没してしまうのかね。ストーリーが平板なので、より演技や歌唱で成長しているのが伝わるかどうかが重要だと思うが

作画だけはいいので、アイドルアニメ好きなら悪くない作品なんだろうが、そうでない人にとっては特に印象に残らない並の作品って感じだろう

 

チェンソーマン 1.9
藤本タツキによる漫画のアニメ化。かなり期待度の高い作品であったが、正直イマイチ。本作を一言で例えると”劣化呪術廻戦”。印象に残らない並の作品。原作未読だが、原作ファンが怒るのもわかるデキ。新人監督に任せたのは大失敗だったと思う

まず世界観を確立できていない。OPを観る限りではギャグ要素もある作品だと思うし、作画からは生々しい描写もあって重苦しさを感じる、一方ストーリーは淡々と進み、”劣化呪術廻戦”と称したようにクールな感じ。一体何を目指しているのって思う

更にテンポが悪い。特に序盤。無駄なシーンが多い。主観映像的な引きでの台詞なしの描写が度々入るが、メリハリ不足なこともあってテンポの悪さに拍車をかけている

ダメ押しで盛り上がりに欠ける。無駄が多いとは言え1クールではプロローグにすらなっていない感じで、分割でもいいから2クールでやるべきだっただろう。ただ、この監督じゃなあ…

2クールは無理にしてもパッションが足りない。マキマやアキなどクールなキャラはそれでもいいが、主人公のデンジやパワーのようなビースト感が強いキャラだと淡々とし過ぎなんだよなあ。「おっぱい揉ませろ」とか「キスさせろ」とかクールとは程遠いでしょ。それにデンジたちの境遇は正直割に合わないモノだが、こういう苛烈なタスクを請け負う悲壮感みたいなものが感じられない

監督はアニメが嫌いらしくて(実写の)映画のような作品を目指したらしいが、率直に言って実写映画に対する理解が足りていないと思う。台詞をボソボソ喋るのも逆効果。字幕がなければ何言っているか分からない。邦画なのに字幕が必要なのは天龍源一郎だけで十分だからw

それとエンディングテーマを1話毎に変えるのはどうなのかね。カバー曲やキャラソンなら分かるけど、曲の印象が全く残らない。鬼滅の刃(立志編)がヒットしたのって2クール作品でありながら、OP(とED)を途中で変えなかったのも一因だと思う。1クールで変更だったら紅蓮華もヒットしなかったと思うし

酷評になったが、原作未読かつ押井守っぽい作風が嫌いでなければ受け入れられるのかも。アニメ制作はMAPPAなので、作画クオリティは高いしね

アニメ映画制作が決定しているが、監督はどうするのかね。映画となると熱心なファン以外観ないだろうから、彼らにそっぽを向かれると悲惨なことになるだろうな。アニメ映画=ヒットではないからねえ

 

ルパン三世 PART6 1.8
PART5が割と面白かったので期待したが、率直に言って残念な出来。ルパン三世の世界観は確立しているので全く楽しめないって程ではないが。前作同様今風アレンジに腐心しているのが感じられるが、これはご長寿アニメなら避けられない道であろう

本作も前作同様、メインエピソードとオムニバスエピソードの組み合わせになっているが、メインエピソードの出来がお粗末。前半はvsシャーロック・ホームズ、後半はルパンの出自に関する話だが、対決ものは名探偵コナンでやってくれって感じ。ルパンの敵は銭形警部でしょ。後半に至っては今更ルパンの生い立ちとか興味ないって。ネタバレになるので詳しくは書かないが、こんなシステムだったら既に発動してそうだし

メインエピソードがどちらも盗みに比重を置いていないこともあって、全体的に泥棒らしさが薄い。最近のセキュリティはIT技術勝負になって地味なのもあるだろうが、アクションシーンが少なくなってアニメとしての面白みに欠ける

それと今回はオムニバスエピソードは著名な作家に依頼しているが統一感が無くてイマイチ。特に押井守の回は西村京太郎のミステリーに村上春樹の小説が混ざったような違和感がある。押井回は賛否真っ二つって感じだが、個人的には論外。良くも悪くも押井らしい話ではあるが

本作の1話から次元大介役が小林清志から大塚明夫にスイッチしたが全く違和感なし。声優交代もご長寿アニメなら当然のことで、受け入れなければならないだろう

 

・イロドリミドリ 1.8
3分x8話ながらもバンド結成からライブまでストーリーが進行するのは評価できるが、内容は普通の緩い日常系、キャラも特に尖ったところもなく無難な作り。単位の為にバンドは面白いが、それがストーリーに活かされているとはいい難い

結局、CHUNITHMの販促アニメなんだろう。CHUNITHMをプレーしている人にはいいかも知れないが、そうでない人は顔と名前が一致する頃にはもう終わっているって感じだろう。勿論、曲も印象に残らず

 

・まちカドまぞく 2丁目 1.8
2019年に放送された作品の続編。緩いノリの中にもシュールな笑いがあって多少はメリハリがあったが、2期はキャラが増えたこともあって話が横道にそれがちでダラダラ感が増した。本筋は結構シリアスな話だが、上手く噛み合っていない感じ。元々福田組のような内輪受けな所もあったが、笑いも毒気が抜けてイマイチ

まあ、この手の作品が好きな人は深く掘り下げるようなことはせずダラダラとした作品が好みなんだろうし、ブラックな笑いは必要ないのだろう。3期があるかは分からんが、多分見ないだろう

 

・ヒロインたるもの!〜嫌われヒロインと内緒のお仕事〜 1.8
HoneyWorksの楽曲を原作にしたオリジナルアニメ。男性アイドルものだし、HoneyWorksの楽曲的にも女性を意識しているのだろうが、中盤まではどちらかと言うと少年漫画的展開。中盤、幼馴染が登場しても逆ハーレム的な展開にはならず、人として認め合い成長していく様を描いている

それだけに終盤の展開はなあ…。少女漫画ならお約束だろうけど。中途半端なリアリティが却ってリアリティを削ぐ結果に。あの程度の弁明で騒ぎが収まるならもみ消せそうだし、「設定」を明かせば済むだけの話。まあ、設定を明らかにしないのは最終話を意識して何だろうけど

あくまでLIP×LIPとひよりの関係を軸に成長を描き切るか、どうしても千鶴を絡めたいならアイドル本人、裏方、ファン、三者三様のアイドル像を描くかなら良かったのだが。女性視聴者を意識するとこういう展開になってしまうのかね

 

・組長娘と世話係 1.8
“桜樹組の悪魔”と呼ばれた霧島透がある日組長に一人娘・八重花の世話係に任命されて…という話。ヤクザの子育てコメディと言えば「ヒナまつり」を思い出すが、同作の足下にも及ばない

一言で言えばヤクザ要素を上手く使えていない。ヤクザのシビアさに反して子供には甘いというコントラストを楽しむものだと思うが、ヤクザの厳しさというよりヤクザのPVって感じ。ヤクザとしての側面を描くならきちんと描いて欲しいし、そうでないなら中途半端に他の組の人間を絡める必要はないと思うが

毒なし、ストーリーに見どころなしだが、八重花はかわいいし、ほっこりできる作品ならそれでいいという人にはオススメできる

 

・夫婦以上、恋人未満。 1.8
原作は金丸祐基の漫画

タイトルがそのものズバリと言うか、教科書のようなラブコメって感じ。学校側が決めたペアで監視下の元、疑似夫婦生活を送る”夫婦実習”というトンデモ設定なのだが、それを上手く活かせていない。毎月上位10組に入るとペア交換できるルールではあるが、主人公である次郎と星以外のペアの様子は殆ど描かれないからねえ。ギャルvs清楚な幼馴染みというありがちなシチュエーションに変わりはない

ただ、結構エロい。モロに…てことはないが、星は勿論、詩織もなかなかの”持ち物"で明らかにそれが武器になることを分かって迫ってくるのでぶっちゃけエロゲっぽい。しかし、本作はエロゲではないし”清い”高校生ということになっているので、あまりに際どいのは”寸止め”で終わってしまうし、顔を赤らめたり後悔したりと汚れきったおじさんはだったらするなよと思ってしまう

ブコメと言えばゴチャゴチャになりがちだが、本作は至ってシンプル。他の人物も出てくるが、次郎、星、詩織の三角関係に特化した内容。故に終盤でああなって、もう次郎がどちらを選ぶかだけなのにこのラストは頂けない。終わり良ければ~とは思わないが、本作の場合はねえ…

女の子達はかわいいが、作画は一昔前って感じ。色使いも原色系で、往年の作品『ハートカクテル』ほどではないものの明らかに意識していると思われる。OPは昔のアイドル風、EDは洋楽風でおじさん(おばさん)をターゲットにしているのだろう

少々エロい以外は主人公が超鈍感なのも含めて至って普通のラブコメ。ただ、星の可愛らしさを大西沙織が引き出していると思うので、彼女のファンは見る価値があるだろう

P.S. 主人公が”薬院”次郎、詩織のペアでいるイケメンが”天神”岬波(みなみ)、詩織の友人が浜野めい等、登場人物の名字(一部人物は名前も)は福岡市内の駅名に由来している。舞台設定も福岡市なのかね

 

2022年に放送・配信されたアニメレビュー(その3:評価1.7以下)に続く