2022年に視聴した映画短評(その1)

*今年観た映画なので、去年の作品も含みます。5点満点で最低点は0

 

・ただ悪より救いたまえ 3.1
所謂韓国ノワールと呼ばれるジャンルの作品。残虐過ぎるバイオレンス、お涙頂戴のストーリー、如何にも韓国アクションと言ったシナリオ。アクションシーンは迫力があるし、終盤に向けて緊迫感が高まっていく

ただ、脚本は緻密とは言い難いし、良くも悪くも予想通り。まあ、予想通りでも上述のようにアクションシーンの出来がいいので面白いが、いいとこ取りのシナリオは何となく既視感があって本作ならではと言うのが無いのが残念

 

・クライ・マッチョ 3.0
90歳を過ぎても精力的に制作活動を続けるイーストウッドの最新作。本作でも主演なのは驚いた。主演は「運び屋」が最後かなって思っていたので

脚本は正直微妙。展開に乏しい。粗筋的に「運び屋」のようなサスペンスを期待する人が多いだろうが、それを期待するなら見ない方がいい。俺が本作で描きたいのは逃避行ではないと言わんばかりに、ストーリーの本筋に関わる部分は淡々と描かれている

ただ、最近のイーストウッド作品らしさは健在。少年ラフォはかなりの悪ガキで生い立ちを鑑みるとグレてもおかしくないのだが、それに同情するでも(素行を)詰るでもなく諭すような語り口なのは「リチャード・ジュエル」と似通った部分がある

ラフォにせよリチャード・ジュエルにせよイーストウッドからすれば孫や曾孫のような年齢であり、お爺ちゃん目線になるのだろう。イーストウッドアメリカには珍しい仕事人間だが、最近は家族を大切にしたいという心境なのだろう

もし、最近のイーストウッド作品を見ていないのなら「運び屋」や「リチャード・ジュエル」を見てから本作の視聴を判断した方がいいだろう。ぶっちゃけ最近の作品の中ではハズレかなと思うし。もう賞レースにも興味ないだろうし、好きなように作品を作って許されると思うので今後の作品に期待したい

 

シルクロード.com 史上最大の闇サイト 1.0
シルクロードの顛末を知っているせいなのか兎に角つまらんかった。辛すぎる点数かも知れないが、つまらんのは事実だしねえ…

何がダメかを列挙していくと、まずカール・マーク・フォース(劇中ではリック・ボーデン)を主人公にしたこと。現場主義のベテラン刑事がインテリで頭でっかちの若手上司を出し抜く、アナログ人間がサイバー犯罪に立ち向かうと言うのは如何にもステレオタイプで陳腐と言わざるを得ない

次にフォーカスが定まっていない。リックの立場じゃ事件の全貌は解らないからどうしてもチームリーダーであるクリス・ターベル目線は必要になるし、更にシルクロードの創設者であるロス・ウルブリヒト目線にかなりの時間を割いている為に没入感に欠ける

それに加えて家族とか恋人との絡みに時間を割きすぎ。エジソンやテスラの伝記映画でもそうだったが、理系人間=堅苦しいと言うイメージを打破したいのか、極力難しい内容を回避したいのか分からんが内容の薄さに結びついている

最後に凄さが全く伝わってこない。シルクロードの革新性もそうだが、オニオンピーラー作戦でIPアドレスを特定するまでに気の遠くなるような地道な作業があることが伝わらない為、最終盤にかけての盛り上がりに欠ける

少しでも間口を広げて多くの人に観て貰いたいのだろうが、中途半端で誰の得にもならない典型のような作品。本作は中途半端に脚色されているので、もしシルクロードについて知りたいなら無料の解説動画を見た方が時間と金を節約できる上に為になる。お金は有意義に使うべし

 

・スティルウォーター 1.5
この映画を一言で言えば、全ての写真がピンボケな写真集って感じ。これを味があると評価する人もいるんだろうが

サスペンスだが、事の顛末を伏せ続けて話が進んでいくので何が争点なのかが分からず話に入れない感じ。重要人物にフォーカスしたかと思ったら"中休み"。休憩明けの展開はしょーもないし、肝心の謎解きも感心するほどではないし

家族愛とか独善的な正義感とか色々メッセージを込めたんだろうが、ぼやっとして何を伝えたいのか分からない。「由宇子の天秤」みたいと言うレビューがあったので当作が好きな人には刺さるのかも知れないが、全て投げっぱなしって感じの作品を当方は全く好きになれない

 

・コーダ あいのうた 3.9
2014年のフランス映画「エール!」のリメイクらしいが、当方は未視聴

本作の感想を一言で言えば「上手い」。本作はデフ(聾)の家族を支えるヤングケアラーの問題と言う硬派な内容を含んではいるが、自分の進みたい進路に対して家族の理解を得ると言う割と一般的な話に落とし込んでいる。本作を観る人の大半は健常者で、障碍者固有の問題を理解するのは困難だと思う

この家族は漁師として生計を立てているが、障碍者と健常者が共生する社会の概念としてノーマライゼーションと言うのがあって本作ではその難しさにも触れているが、これもアメリカらしい下品な明るさで深入りしない感じで纏めている。障碍者だってすることはするのは当然のこと

原作では家族はもっと尖った性格らしいが、上記のように障碍者問題にも深く立ち入らず全体的にマイルドな作り。本作の方がより広い層に観て貰い易いと思うが、原作ファンからすれば物足りないのかも

ストーリー的には普通って感じだが、終盤の演出は見事でこの映画の素晴らしいCODAとして機能している。因みに、CODAはChildren of Deaf Adults(⽿の聴こえない両親に育てられた子供)のことで、ダブルミーニングになっている

本作では作中に懐メロが数多く使われているが、洋楽に詳しくない小生は「青春の光と影(Both Sides Now)」位しか分からなかった。歌のシーンについては上手く歌えている時とそうでない時が分かるように演じ分けられているが、ブツ切りが多いのはイマイチ。まあ、仕方ないと思うけど

良くできた作品だと思うが、これって言う所がない作品なのも事実ではある。とは言え、お金を出して映画館で観る価値は十分にあるので是非映画館でどうぞ。もっとデフについて別の角度から知りたいなら、昨年公開された「サウンド・オブ・メタル」の視聴をお勧めする

最後に余計なことだが、もし手話を勉強したいなら本作は役に立たないかも。アメリカの手話と日本の手話は別物なので。点字に関しては表している文字が言語によって異なるとは言え、世界的にブライユ式点字が使われているのだが

2021年私的映画ランキングTOP10+α

早速、発表。

短評の方にも書いたように今年観た映画のくくりなので、去年公開の映画が含まれています。

 

4.5 ノンストップ
4.5 すばらしき世界
4.3 スイング・ステート
4.2 空白
4.1 ステージ・マザー
4.0 ディエゴ・マラドーナ 二つの顔
4.0 藁にもすがる獣たち
4.0 JUNK HEAD
4.0 サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ
3.8 アイの歌声を聴かせて

 

3.7 KCIA 南山の部長たち
3.7 スプートニク
3.6 シカゴ7裁判
3.6 少年の君
3.5 ヤクザと家族 The Family
3.5 AGANAI 地下鉄サリン事件と私
3.5 サマーフィルムにのって
3.5 ベイビーわるきゅーれ
3.5 カラミティ

 

ワースト5は

0.0 アンチ・ライフ
0.0 竜とそばかすの姫
0.0 プリズナーズ・オブ・ゴーストランド
0.5 テスラ エジソンが恐れた天才
0.5 ドリームランド

 

ワースト1はプリズナーズ・オブ・ゴーストランド。他の0点2作は稚拙なのに対して、プリズナーズ~は悪趣味と言うかより不快感があった。テスラは映画も酷かったが、アニメのテスラノートも散々な出来で気の毒だった。厄年だったのかねえ

 

因みに、去年のランキングは

 

5.0 ミッドナイトスワン
4.7 ミセス・ノイズィ
4.5 国家が破産する日
4.4 新卒ポモドーロ
4.3 ザ・ハント
4.2 水上のフライト
4.1 WAR ウォー!!
4.0 リチャード・ジュエル
4.0 だれもが愛しいチャンピオン
4.0 悪人伝

 

3.9 はりぼて
3.9 薬の神じゃない!
3.8 エクストリーム・ジョブ
3.8 なぜ君は総理大臣になれないのか
3.7 ブレッドウィナー
3.7 TENET テネット
3.7 宇宙でいちばんあかるい屋根
3.5 レ・ミゼラブル
3.5 テルアビブ・オン・ファイア

 

評価3.5以上の本数は一緒だが、見ている本数が違うからなあ。今の状況だとミニシアターには行きにくいが、今年は何本見れるかねえ

2021年に視聴した映画短評(その12)

*今年観た映画なので、去年の作品も含みます。5点満点で最低点は0

 

・映画大好きポンポさん 2.1
レビュー評価の高い作品だが個人的には全く刺さらず。客観的レビューなんて不可能だと思うが、レビューを書いている人は映画好きが多い訳で映画作りの楽しさに触れる作品は高評価になりがちなのだろう

テンポは悪くないのでそこそこ楽しめる。褒められる所はそんなところか。寧ろテンポが良すぎてダイジェスト感がある。それから原作は知らないが、この作品の主役はポンポさんじゃないの。これでは「映画大好きジーンくん」だと思うのだが

本作には映画哲学的なものが出てくるが、この作品がその哲学に則ってない矛盾。その顕著な例が銀行絡みの事柄。ただでさえ発散しているのにオリキャラ追加してまで入れるべきことか。こんなんじゃニャカデミー賞は無理でしょ

それと触れなければいけないのが似非声優問題。主役のジーンの声を当てている清水尋也は及第点だと思うが、ナタリー役の大谷凜香は酷い。まあ、新人女優役なのが救いだが。この作品にパンダを使ったからと言って動員が伸びるとも思えんし、何故このキャスティングなのか理解に苦しむ

 

・竜とそばかすの姫 0.0
"駄作メーカー"細田守の作品。勿論、スルーのつもりであったが何故か視聴する羽目に

相変わらず作画だけは評価できる。高知県いの町がモデルと思われる田舎の風景は美しい。田舎とネット社会という構図は細田監督の旧作「サマーウォーズ」を彷彿とさせる。褒めるのはここで終了

で、肝心のストーリーだが、脚本は三流以下。要素の詰め込み過ぎ、フォーカスが合っていないはありがちだが、それに加えて登場人物が多すぎ、行動原理が理解不能故にストーリー展開も意味不明。作品毎に脚本力が落ちていくのは稀有な才能と言わざるを得ない

細田作品なので当然のように似非声優が大量起用されているが、主役のすず(ベル)を演じた中村佳穂だけでなく全体的に御粗末。まあ、彼女達の演技で台無しではなく、脚本がオワコンだからねえ…

他の人のレビューに「良くも悪くも細田作品」とあったが本当その通り。最近の細田作品に満足している人は本作にも満足するだろうが、失望した人が「本作では…」と思って視聴するのは全くの無駄。更に失望することになるだろう

 

・サイダーのように言葉が湧き上がる 1.5
絵を見ただけだとハートカクテルのタッチでサマーウォーズをやりたいのかと思った。所謂ボーイミーツガールもので俳句をコンセプトにひと夏の恋を描いている。因みにタイトルも俳句になっている(サイダーは夏の季語)

無口なキャラが想いを文章に認める恋物語を描いたアニメとして川柳少女が思い浮かんだが、川柳少女はラブコメなのに対してこちらはコメディ色は薄い

この作品を一言で言えば内容は無いよう。軽いノリでラストシーンをお楽しみ下さいって所は「きみの声をとどけたい」に近い感じか。きみの声~も言霊がテーマだったと思うが、恋愛要素はないしストーリーは全然違うが

ただ、軽めのストーリーには目を瞑るにしても、前半のテンポが悪すぎるし、こういうベタな結末にするならクライマックス前のストーリーの溜めが必要だと思うのだが。まあ、きみの声~も淡白だったし焦らしは不要って人が多いのかね。前戯のない○○○みたいなものだと思うが

この作品はどの層をターゲットにしているのだろう。ハートカクテル、俳句、レコード等おじさん、おばさんをターゲットにしているとしか思えないが、それならもっとストーリーを作り込まないと。一方。軽い恋愛、パンダ(似非声優)登用は若者を狙っていると思われるし

某青春アニメがヒットしてからあの作品に寄せろと口出しされるそうで今作もそうなのか。中途半端に寄せて幅広い層をターゲットにするって失敗確実だが。某鬼狩りも元々低年齢層をターゲットにしている訳じゃないから残虐シーンもあるしね。幅広い層に受けるのは結果でしかない

まあ、市川染五郎の演技も予告編ほど酷くないし、ハートカクテル風の作画は懐かしさがあるが、舞台が(多分)群馬のショッピングモールなのはなあ…。この作風なら舞台は海沿いが良かった

 

・アイの歌声を聴かせて 3.8
AIと人間の共生というSF的なテーマであるがSF要素は薄い。ミュージカル風ドタバタ青春群像劇と言ったところか。歌は唐突感もあるが、シオンのキャラに合っていてストーリーにも噛み合っている

シオンの突拍子もない行動は笑えるしテンポよく進んでいくが、終盤は戴けない。大人が絡んでこれはないでしょ。まあ、狙いは理解できるし伏線も回収しているが、要素過多でもあるし会社のゴタゴタは必要なかったと思う

本作で評価できるのは、まず完全無欠のAIを描いていないこと。AIは飽くまでプログラム通り動いているだけ。本作で描かれているようなAIと人間の絡みとなると一見イレギュラーに見えるような行動もしなければいけない。人間は良くも悪くもいい加減だが、それはAIにとっては難しいことだ

それから演技面。この作品も御多分に漏れず似非声優を起用しているが、彼らにもきっちり演技を要求しているのが伝わってくる。個人的にはきちんと演技さえしてくれれば声優には拘らないので、今後の作品はこのレベルをデフォルトにして貰いたい

特に土屋太鳳演じるシオンはAI的な部分と人間的な部分が同居するキャラで難しい演技を要求されたと思うが、作品の魅力を引き出していて、正に土屋太鳳を堪能する作品になっている

この作品が無茶苦茶刺さる人は少ないかなと思うが、SF要素が薄い分間口は広いので是非多くの人に映画館の音響で観てほしい作品

 

・映画 えんとつ町のプペル 2.0
2020年の作品だが、年末公開なので2021年扱いで
本作の良い所は何と言っても作画、「海獣の子供」等を担当したSTUDIO4℃が制作した画は美しく、絵本の世界観に引き込んでくれる

ストーリーについてだが、言いたいことがきちんと伝わるのはいいと思う。ただ、本作に関しては主張が前面に出過ぎで主張の為のストーリーになっているきらいがある。演説じゃないんだし、ストーリーに主張を乗せる位のバランスじゃないと

他に宜しくない点はまず序盤が浮いている点。本作に限らないが、ストーリーが実質的に始まるまでに時間がかかり過ぎる作品が目立つ。100分の作品にする為に大幅に水増ししたようだが、もう少し上手くやれなかったかねえ

後、この作品は誰をターゲットにしているのか。子供向けなのだろうが、異端審問官とか中央銀行とか子供は分らんでしょ。大人向けの要素を入れるにしても子供にも分かるように咀嚼する必要があると思う

他には中央銀行の件からの結末は正直?と思ったし、プペルの正体はそれとなく仄めかす程度で良かったかも

色々書いてみたが、初監督・脚本と考えれば悪くなく、ぶっちゃけ普通の映画って感じ。新海や細田だって脚本力があるとは思わないし。ただ、新海や細田にも言えることだが、もし次回作を考えているなら脚本は他の人に任せるべきだろう

2021年私的アニメランキングTOP10+α(寸評付き:評価2.5以下)

 

・灼熱カバディ 2.5
一言で言えば硬派なスポーツアニメ。カバディのルールや用語は勿論、戦略面にも立ち入っているので競技の奥深さや魅力が伝わってくる。キャラの個性も十分立っていて、似たような人物ばかりと言うことはない。原作の良さは十分に出ていると思う

ただアニメ作品として魅力的かと言えば疑問。マイナー競技なだけにアニメ化で動きがイメージしやすいのはプラスだが、それ以外は…。かくれんぼに1話使うような舐めきった脚本でないのはいいが、テンポの悪さ、メリハリの無さが目立つ。練習試合2試合で終わりではねえ…

上述のようにカバディに深く立ち入っている作品なのでテンポを上げると雑になって良さが出ないと思うが、競技の躍動感も削ぐ結果に。アニメ向きの作品ではないのだろうが、もう少しアニメでどう見せるのかを考えて欲しかった

 

・月とライカと吸血姫 2.5
宇宙飛行士になる為の訓練の過酷さ、レフとイリナが愛を深める様子等丁寧に作られた作品。最後もハッピーエンドだし共産圏の闇に深く立ち入らず無難に纏めた感がある。ただ、小説2巻分で1クールなのでやや冗長な感があり、終始淡々と進むので盛り上がりに欠けるのも事実

林原めぐみが演じるイリナのツンデレが可愛らしい。個人的にはサラ・オレインが作詞も担当している歌をもう少し聴きたかった

 

・Sonny Boy 2.4
SFx青春ジュブナイル物。SFとしては雑すぎて話にならないが、青春ジュブナイルとしてはまあまあ。話が前回の続きから始まらないのはぶつ切り感もあるが、前回から全く想像できない程話が飛んでいる訳ではないので、この話の世界に浸れれば寧ろ間を自分で補完する感じでより世界に引き込まれていくだろう

ただ、ストーリーの完成度は正直低い。全体的にキャラや設定を使いこなせていないし淡々と進みすぎる感じ。特に6話を受けての心境の変化が余り感じられないのは残念

難解と言われる作品だが、難解というよりは要素過多で雑になっているだけで褒められたものではない。ぶん投げで終わる要素が多すぎ。作画や銀杏BOYZらの音楽はノスタルジーを感じさせるもので、それと青春ジュブナイルなストーリーを"感じる"作品なのだろう

 

・恋と呼ぶには気持ち悪い 2.3
序盤こそ笑えるが、中盤以降はつまらないとまでは言わないが凡庸。ただ、いくらアニメとは言え亮がこれ以上やってしまうと笑えなくなるので、ストーリー展開に一工夫欲しかった。オチも見え見えだし

二人は勿論、脇役の感情描写は丁寧で中盤以降はコメディ色が薄まる。キャラデザは少女漫画風だし、女性がキュンキュンするような作品であって、ひねくれたおっさんが見るべきではないのだろう

 

・平穏世代の韋駄天達 2.3
独特な世界観、ポップな色使い等かなり癖の強い作品。本作はダークファンタジーだが、ポップな作風はエログロを中和している

ストーリーはテンポは悪くないものの、淡々と進みすぎてメリハリがない。原作ストックを使い果たしたようだが、こんな中途半端なところで終わるくらいなら無理に話を進めなくてもと思う。もう少しゆっくり進めればストーリーに説得力を持たせられた筈でより話に引き込まれたと思う。まあ、無理矢理ストックを消費するのは最近のフジテレビのお約束だが

 

不滅のあなたへ 2.2
世界観も設定も素晴らしい。主人公(フシ)の成長も描けている。なのにイマイチな作品。例えるなら料理下手が松阪牛ビーフストロガノフにしようとして失敗した感じか

面白くないのはストーリーに乗れていない感が強いからで、そう思うのは話に一本筋が通っていない、ぶつ切り感があるからだろう。本作のメインは壮大なファンタジーである筈だが、それが感じられない作品になってしまっている

本作は数話毎に舞台が変わるオムニバス形式のようになっているが、唐突に舞台が変わる感が強い。特に序盤はフシ以外の目線でストーリーが進む感じなのが余計にそう感じさせる

本作のもう一つのテーマが人の死だろう。人の死はメインテーマにも関係しているしストーリー的に避けて通れないのだが、所謂犬死が多い印象でもう少しシナリオを練れなかったものか

ヴァイオレット・エヴァーガーデンみたいな所謂泣けるアニメを探しているならいいかも知れないが、壮大なファンタジーアニメとしては1mmも評価できない作品。2期があるようだが多分観ないだろう

 

さよなら私のクラマー 2.1
悪い点から列挙していくと、まずは作画。後半は多少マシになるが、躍動感に欠ける。スポーツアニメあるあるで回想シーン等で止まることが多くなるのでテンポが悪くなるのはある程度仕方がないと思うが、誰々の様と言うのであれば作画で凄さが伝わるように頑張って欲しかった

まあ、人数多い、止まるシーンが少ない、でも戦術論がある(つまりピッチ全体を見る必要がある)。サッカーに詳しい人が作画監修して、セルも使い回しせずに枚数をかければ良い作品になりそうだが、今日本でヒットするのは寧ろ競技は二の次の軽い作品。予算に限りがあることを鑑みるとサッカーアニメはかなり厳しい

ストーリーだが、まずナレーションがうざい。ネタバレは必要ないでしょ。ただでさえテンポが悪いのに。次に無駄な回想が多い。自軍の選手でさえ掘り下げ不足なのに敵の選手を掘り下げる必要はない。それと一つのエピソードを態々分割して細々と回想するのもテンポが悪くなる要因。まあ、高橋ナツコらしいが

それからフォーカスが合っていない。別にシリアスなアニメにコメディシーンがあっても構わないと思うが、日本女子サッカーを担うという壮大な話と典型な弱小部活モノあるあるが余りに噛み合わなさ過ぎる。高橋ナツコと言えば、ストーリーの繋がりが分からなくなる位の大胆なカットで有名だが、もっと大胆にカットした方が良かった。まあ、サッカーは少なくとも11人必要だし、全員にスポットライトを当てるなら2クールは必要だと思うが

ここまで厳しいことを言ってきたので最後に良い点を挙げると、まず女子サッカーの厳しい現実を描いていること。試合もぶっ飛んだ現実離れな必殺技を使って勝つようなサッカーを冒涜するような作品でないし。必殺技はともかく厳しい現実を描く作品は少ない印象で、新川直司らしい所だろう

それから、誰々の様だという喩えで色々な選手が出てくるのはいい。ただ、マルセイユルーレットって言われてもサッカーに興味ない人は何ですかそれ?だろうけど。ストーリー展開も地味だし、サッカーに興味のない人には作画も悪い糞アニメって評価になってしまうだろう

 

・東京リベンジャーズ 2.0
ヤンキーxタイムリープ。両者のバランスが取れていると言うよりはどちらも中途半端な作品。本格的SFにしようとは思っていないだろうし、タイムリープに関する矛盾には目を瞑るにしてもあまり褒められた脚本ではない。まあ原作がこんな感じなんだろう

まずテンポが悪い。抗争時は武道は活躍していない上に喧嘩シーンの作画もイマイチなのでもっとカットした方が良かった。回想もストーリーに余り関係無さそうなのにも時間を割いている感じ。原作再現度が高いのだろうが、もっとメリハリが欲しい

それとタイムリープ要素を上手く使えていない。序盤こそきちんと作戦を立てているが、中盤以降は行きあたりばったり。直人が武道のことを信用したと言えなくもないが、何回もやり直して上書きするタイムリープものの面白さは損なわれている

鬼滅の刃のテンポを更に悪くした作品って感じで何故人気なのか分からんが、キャラ推しx戦闘なら特定の層にはウケるのかね。とんでもないシーンで終わったので多分2期があるのだろうが視聴しないだろう。不倫騒動の人をどうするか、変えてもそのままでも非難轟々なのは目に見えているし、すぐに続編は無さそうだが

(追記)2期があるようだが、不倫騒動の人は交代ですか。交代させて意味があるのかね。まあ、2期は見ないだろうからどうでもいいが

 

・女神寮の寮母くん。 2.0
作画から受ける雰囲気、1話から恥も外聞もなく脱ぎまくる痴女達(失笑)、とても令和のアニメとは思えない作品。テンポは悪くないし、キャラは立っているのでつまらんと言うことはないが、孝士の幼馴染であるすてあが登場して以降ラブコメ色が強くなると同時にパワーダウンする印象

公式サイトにおねショタハーレムラブコメ!!と書いてあるように色々な要素が含まれた作品だが、おねショタハーレム要素とラブコメ要素、それに加えてちょいちょい挿入されるいい話的なエピソードがケンカしている。例えるなら、あんことケーキと杏仁豆腐を全部口の中に入れてそれぞれの味を感じてる感じ

シリーズ構成がやたらエロを強調したがる鈴木雅詞、すてあ登場以降の展開を鑑みると原作は微笑ましいラブコメにちょっぴりアダルト要素って感じなのか。ただ、それだと折角の濃いキャラを活かせないし、それで面白いかと言われると

どの要素から見ても中途半端な作品なので、この作品に高評価を付ける人は少ないだろう。強いて言えば、すてあのツンデレキャラっぷりがハマった人位か

 

・プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~ 2.0
作画はいい部類だろう。全編手書きだし。ただ、スポーツ物はモーションキャプチャーを用いることが多く、CGとの相性は良い筈だが…

脚本が過去にもスポーツアニメを担当している待田堂子と言うこともあって、ストーリーは纏まっている。アイスホッケーは交代無制限なので1チームの選手数は多いが、主人公たちのセットに絞ったのも悪くない。ただ、やはり"薄い"。(ウマ娘を意識したであろう)ビクトリーダンスは兎も角、いくら初心者の成長を描くのが中心とは言えアイスホッケーという競技の掘り下げが不足している

この作品はソシャゲ展開を考えているようでビクトリーダンスもアイドル的要素なのだろうが、アイスホッケーは装備が物々しくて顔も隠れてしまうのでアイドル的展開には不向きだろう。二兎を追う者は一兎をも得ずという言葉が良く当てはまる作品

 

死神坊ちゃんと黒メイド 1.9
3DCGながら温かみを感じる作画。ただ、最近は女性がセクハラする側に回る作品は珍しくないしラブコメとしては凡庸。ストーリー展開が遅いので最後まで見る前に飽きてしまうかも。まあ、単調な日常は世界観を反映していると言えるが

2期があるようだが、1期では殆ど進まなかったバックグラウンドに関する謎解きが進めば面白くなるかも知れないが…

尖った所の無い作品なので宇崎ちゃんや長瀞さんでも毒気が強いと感じるような高木さんファンにはウケるのだろうが、宇崎ちゃんや長瀞さんでも物足りない筆者には満足できる作品ではない

 

・海賊王女 1.8
作画も音楽も世界観も素晴らしいが、残念ながら脚本が二流。期待できたのは序盤まで。設定も複雑だし、壮大なアドベンチャーを1クールで描ききるには要素の取捨選択が難しいのは理解できるが、終盤の唐突な展開はポカ~ンって感じ。ラブロマンス強調もより話が陳腐に思えるだけ

2-3クールでそれぞれのバックボーンをきちんと描いた上での終盤ならば印象は違った筈で高く評価される作品になったかも。ただ、1クールと決められた以上は1クールで何を見せるかを考えるべきで、この作品に限らずそれを考慮に入れていない作品が多いのが現実なのが残念

 

・シキザクラ 1.8
作画に関しては及第点。CGアニメということでヲタクには毛嫌いされるだろうが、エクスアーム等見るに堪えない作品とは明らかに一線を画している

問題なのはストーリー面。主人公の青臭さを含めて昭和のヒーロー物っぽいのはファンタジー要素との噛み合わせの面からも悪くない。ただ、日本神話的な世界観と本作の設定に関する説明が作品中で殆どなされないのは残念。幽世とか現世とか言われても?な人は多いだろうし、日本神話は知っていても説明なしに設定は理解できないだろう

まあ、説明がなくても何となく理解はできるが、終盤に入る前に世界観や設定を整理する回が必要だったと思う。それがない為に終盤の盛り上がりに欠け、何となく終わってしまう印象。それ以前に序盤に全然説明がなく、幽世と現世を行ったり来たりして分かりにくい時点で切られてしまいそうだが

小ネタは全体的に古め。スト2ネタは若い人には分らんだろうな。タイトルのシキザクラは本作にも出てくる豊田市小原地区の四季桜(春と秋に咲く二季咲きの桜)のことだと思われ、豊田以外にも愛知県内のスポットが色々登場する。八十亀ちゃんかんさつにっきのキャラがモブキャラとして登場するサプライズもあって中京圏の人は楽しめるかも

 

ホリミヤ 1.5
中途半端と言うかどういう路線で行きたいのか分からない作品。堀と宮村の関係を丁寧に描いていたのは途中までで、後半は多すぎる登場人物がちょいちょい出てきていったい誰が主役なの?状態。堀の父とかアクの強いキャラもいるのにどうしてこうなっちゃうかねえ…。前半はきっちり話が進んで後半ダラダラなのも原因か。逆ならまだマシだと思うが

それから、もう少しキャラの個性を強調できなかったか。例えば女性陣は全体的に胸が小さめで、これだと堀が特に貧乳には見えない。多分日常系作品だと思うので元から薄めの内容だと思うが、1クールに収めようとして更に薄くなってしまった印象

 

・ジャヒー様はくじけない! 1.5
登場人物は増えていくが笑いのパターンは増えず、メインストーリー(?)も進んでいかないので単調で飽きがきやすい。1クールでも長い感じだが、2クール(20話)だと尚更

ゆるいコメディ、有名声優陣。ターゲットはオタクなんだろう

 

・でーじミーツガール 1.5
正味1分半のショートアニメでやる内容ではない。後で12話くっつけたバージョンが放送されたように毎週見ているだけではストーリーに入れない。ショートアニメでストーリー性を持たせるには正味5分程度は必要だろう

ストーリーは1分半のショートアニメにしては頑張ったと思うが、やはりもっと時間がないと。話が中途半端なところで途切れることも多く、この枠でやったのは失敗だったと思う

 

・バクテン!! 1.3
モーションキャプチャしたであろう演技シーンについては圧巻。メインキャラの掘り下げは十分で個性も印象に残るが、如何せんシナリオがペラペラな上に続きは映画館商法炸裂。かくれんぼに1話使う位ならストーリー進めろって

経費削減にもなるし、腐女子は競技なんて興味ないからってことなんだろうけど何だかなあ。この作品を見ても新体操の採点方法(因みに男子と女子で違う)すら分からないし。真っ当なスポーツアニメを期待する人には全くお勧めできない

 

・テスラノート 1.3
「エクスアーム2期」「今期のエクスアーム枠」等と言われたように作画は最悪。スパイものなのでアクションシーンはそれなりにあるが、このクオリティでは…。一言でいえば現代の技術で作られたとは思えないほど稚拙。PS2のムービーだと言われたら信じてしまいそうだ

ストーリーはプロットは良いと思うのでそこそこ楽しめるが、主人公の性格がノイズにしかなっていない。スパイらしからぬ温情でマッチポンプになることが多く、その上コミカルシーンが挟まるのでテンポが悪い。もっとスパイらしいシビアなところを見せれば人情やユーモアはスパイスになると思うが。全4巻で1クールだと切り捨てた所は少ないだろうから、原作もこんな感じなんだろう

アニメはダメ、自伝映画はダメ、テスラにとって2021年は厄年だっただろう

 

・見える子ちゃん 1.2
本題に入るまでに時間がかかりすぎ。内容の薄さを中途半端なエロ等でごまかしているが、テンポが悪くなるわ、ホラーの雰囲気をぶち壊すだけになっている。そもそもバケモノのデザインからしてあまり怖さを感じないが

無理に30分枠にするんじゃなくショートアニメで良かったのでは

 

・幼女社長 1.0
一言で言ってしまえば幼女が社長なだけのアニメ。多少はシニカルな面もあるが、モルカーと比較するとかなり物足りない

 

・EDENS ZERO 1.0
一応最後まで見たが第1話がピークだった作品。女性陣は皆おっぱい大きめ、バカ正直を絵に書いたような猪突猛進型の主人公、理詰めより友情パワー等良くも悪くも少年漫画。ワ○○○スのパクリ?って思った位既視感の塊だし、SFを標榜しながらやっていることは異能バトル、主人公以外も甘ちゃん揃いでマッチポンプな展開に苛ついてきて感動シーンも何も感じなくなる。まあ、ながら観、飛ばし観にはいい作品

この内容で満足できるのは小学生までだと思うが、小学生が見るにしては悪趣味なシーンが散見される。いったいどの層をターゲットにしているのか。この作品に2クール使うなら他の作品に回して欲しかった。最後に2期を示唆するような映像もあったが、もし作られたとしても見ることはないだろう

 

・サクガン 1.0
第1話がピークだった作品。1クールなので俺戦エンドは致し方無いという意見もあろうが、中盤から無駄に話を引っ張っている感がありありで最終盤にごちゃごちゃ撒き餌をしてもなあ…。ただでさえ話数が少ないのに歌姫の話なんて全く必要ないし、逆に歌姫の話を活かすなら1話完結ロードムービーにしないと。中途半端なんだよなあ

作画は悪くないが、削岩(サクガン)シーンを含めロボットが活躍する機会は少なく折角の作画も見せ場はない。3-4クールで完結させるならこのペースでもいいかも知れないが、1クールと分かっているのだから1クールで纏めるのが仕事でしょ。設定も活かせていないし低評価が妥当だろう

 

・逆転世界ノ電池少女 0.9
絵に描いたようなダメな作品と言うか…。フォーカスが合っていない、設定を活かせていない、ストーリー展開を終盤に集めすぎて中盤までが浮いている。ストーリーは良くも悪くも王道だが、もっとストーリーを意識させる脚本にしないと。電池少女達のバックグラウンドは掘り下げているが、1クールのアニメとしてはどうなんだろって感じだし

戦闘シーンは見せ場である筈だが、作画枚数節約が優先されている感じ。タイムボカンシリーズ宜しく敵が逃げ出してしまうしねえ。低予算でとりあえずヲタクに媚びておけばいいんじゃね?と言う志の低さしか感じられない

 

古見さんは、コミュ症です。 0.8
何故この作品をアニメ化しようとしたのか理解に苦しむ。いくらコミュ障と言えどもここまでの人はいないし、それが作品の面白さに繋がっていない。古見さんがツッコミ役はどうやっても無理でボケ役しかないが、古見さんをイジるどころか過度のお姫様扱い

コミュ障の人をイジるのはいじめってことなのかね。全体的にテンポが悪く、周りの変な人達が独り相撲で終わっていくパターンばかりなのでマンネリ感が強い。まあ、それを細かく章立てすることで緩和している感じなんだろうけど

それから文字演出が多すぎる。古見さんは筆談が多い上に文字演出だと画面上の文字を読んでばかりでアニメを見ている気がしない。他にもルッキズムが目に余るし、正直褒められるところがない

 

約束のネバーランド(2期) 0.5
1期は神アニメと呼ぶ人も多いデキの良い作品だったが、2期では紙(のように薄っぺらい)アニメに成り下がった作品。1期で原作の5巻までをカバーしたのに、2期で残りの15巻をカバーするのはどう考えても無理がある。それなのに総集編で1話潰すとか何を考えているのか。これではヤケクソのネバーランド

原作未読の筆者目線でもまともなのは3話まで、4話以降は右肩下がりのクオリティ。無理な圧縮とオリジナル展開による矛盾や疑問、言動の説得力の無さ、1クールのアニメとは思えないストーリーの薄さ。薄さの集大成とも言える最終話のスライドショーには失笑を禁じ得ない。こんなレベルの作品を垂れ流す位なら2期制作を中止した方が良かっただろう

 

・ぼくたちのリメイク 0.5
典型的な駄作。要素(クリエーター物xラブロマンスxタイムリープ)の詰め込み過ぎ、定まらないフォーカス。この作品で何を描きたいのかが全く伝わってこない。ダメ出しする箇所が多すぎて全部書く気にならないので全カットで

作画だけは褒められるが、この脚本じゃあ…。何でこの作品をアニメ化しようと思ったのだろうか

 

・探偵はもう、死んでいる。 0.3
原作はかなりの人気作品らしいが…

異能バトル物かと思えばSF的展開があったりと世界観は滅茶苦茶。探偵要素はオマケのようなもの。「は?」と言いたくなるような超展開が多い上に、時間軸をいじっているのがストーリーに活かされていない。素直に第一章シエスタ編、第二章渚編で良かったと思うのだが

シエスタを愛でる以外の目的でこの作品を視聴するのは時間と金の無駄だろう

2021年私的アニメランキングTOP10+α(寸評付き:評価2.6以上)

 

・オッドタクシー 4.5
プロットは本当に素晴らしい。ただ、脚本になるとやや粗が目立つ。オチももう一息だし。ただ、群像劇を繋いでのストーリーは上手く組み立てられていて徐々に引き込まれていくし、キャラが動物なのも生々しさを中和しているしでアニメの脚本として良く考えられている

キャスティングはダイアンの芸人役は嵌っていたと思うが、ミキの刑事役は微妙。花江夏樹の小戸川も微妙だが。ただ、1クールのアニメにしては登場人物が多いこともあって、動物と意外なキャスティングで印象に残そうという意図はあるのかなと思う

作画もOP、EDも雰囲気があって作品の世界観を構築している。普段余りアニメを見ない層にお勧めできる作品

 

弱キャラ友崎くん 4.1
ラノベ原作で人生をゲームに擬えて攻略していく内容だが、ラノベと言うよりはビジネス書をアニメにしたような作品。ビジネス書原作といえば、もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)が思い出されるが、あの作品みたいに途中からテーマがそっちのけになることはない

純然たるラブコメではないと思うが、ヒロイン達の個性が立っているし学園ものとして面白い。リア充礼賛より寧ろ多様な価値観の大切さを説いた作品だと思うが、そう受け取れない人にはつまらない作品かも

 

・カノジョも彼女 4.0
ブコメなのだが、ラブコメ色は薄めでかなりアクの強いギャグアニメ。過激なシチュエーションの割にウブで真っ直ぐ、特に主人公は痛すぎる程だが、ちゃんとツッコミが入るのが本作の良いところ。寒いボケを放置するだけのつまらん作品も多いからねえ

ボケとツッコミの応酬は宛ら漫才の様で故に大きな演技が嵌っていると思うが、これを嫌う人も多そう。好きと嫌いで二分されるタイプの作品だと思う

難点を挙げると、作画がやや怪しい、漫画的文字演出が多すぎってところか。作画に関してはギャグアニメなので多少崩れた所でそんなに気にならない。気になるのは文字演出の方で少々手抜き感が感じられる。まあ、○○○○みたいに実写映画でやられるよりは遥かにマシだが

二股なんてフィクションでも以ての外、純然たるラブコメが好み、キャラへ感情移入できるかが評価に直結する人には向かないだろう。総じて男性向けと言える

 

・ブルーピリオド 4.0
原作読破勢の評価はそこまで高くない印象だが、正直アニメ化に向いていない作品だと思う。題材が絵画で動きに乏しい上に漫画だと白黒ページで描かれる絵画には読者それぞれの色があると思うが、流石に今時のアニメで白黒にはし辛いのでどうしても色が想像とは違うという印象を抱きがち

その上、心の機微を描く作品はアニメとしてはテンポが悪くなりがちな上、文字や台詞による説明が多くなるので感情移入しにくい。原作はもっと細かいのだろうが、適度に省きつつアニメとしてのテンポを保ったのだろう

実際、台詞による説明が多すぎると思ったが、それでも八虎の葛藤や苦悩は伝わってくるし、何より絵画の世界は良く知らない上に絵画の予備校となると正に知られざる世界で非常に興味深い。原作未読勢なのもあるが、良くこの難しい題材を上手くアニメ化したと思う

 

・かげきしょうじょ!! 3.7
明らかに宝塚音楽学校がモチーフになっている紅華歌劇音楽学校を舞台に繰り広げられる青春群像劇。現在は白泉社の少女誌「MELODY」連載だが、青年誌「ジャンプ改」で連載が始まったこともあって少年誌テイストであり、女の園らしいドロドロしたところもあるものの全体的には爽やかなスポ根アニメになっている

この作品の良い所を掻い摘んで挙げると、まずはキャラの描写。キャラが立っているのは勿論、主人公であるさらさと愛以外のキャラにも感情移入できる位バックグラウンドを掘り下げている

後はED。メロディを聞いただけで宝塚(をモチーフにした)と分かる。主人公であるさらさと愛が歌うバージョンがメインだが、他のキャラが歌う時はそのキャラに因んだ歌詞に変わることで本編の余韻が感じられる様になっている

原作未読だが、13話に収めるために脚本はかなりいじった感じがする。中盤まではややダイジェスト感が、終盤はここまでのテンポの良さを考えるとやや冗長な感がある。特に現実と回想の行ったり来たりがより冗長に思わせる要因になっていると思う。率直に言って群像劇で1クールは無理がありすぎる。2クールあれば構成もかなり変わっただろう

ただ、2期は期待薄か。ただでさえ円盤が売れない時代、見た目は完全な少女漫画でスポ根好きはこの作品がスポ根テイストとは思わないだろう。IDみたいに海外では絶大人気ならいいが、宝塚(や歌舞伎)が外国人に理解されるかどうか。最近は日本でも少なくなったが、女子校(男子校)なんて海外では皆無だしねえ

 

Dr.STONE(2期) 3.5
1クールで切りの良い所で締めるとなると仕方ないのだろうが、壮大な目標からすれば通過点に過ぎない獅子王司との戦いに尺を割き過ぎ。(1期で多かった)長い回想でテンポが悪くなることはないものの、前回の途中から話を始めることで露骨な尺稼ぎが目立つのは残念

とは言え、千空の発想力、行動力、仲間との絆で窮地を脱し、目標を達成する様は正に少年漫画の王道とも言える展開で安定の面白さ。登場人物は多いが、キャラの強弱はついていて無駄に話が広がらないのでストーリー展開に安定感がある

化学系の人間としてはもう少し発明品について詳しく触れて欲しいと思うが、猫じゃらしラーメンならともかくトリニトロトルエンの合成を真似されて大事になっては困るのも事実で致し方ないか

 

・吸血鬼すぐ死ぬ 3.5
作画の雰囲気、OP、EDはシャレオツな作品に思えるが、中身は中高生レベルの妄想と小学生レベルの下ネタで構成されている。各話のタイトルが映画のパロディになっているが、「市民野球ケーン」は吹いた。オーソン・ウェルズが生きていたら笑ってくれるかねえ

タイトル通り吸血鬼はすぐ死ぬしワンパターン感もあるのだが、妄想の塊のような吸血鬼はそれだけで笑えるし、しかも有名声優が声を当てているのは収録風景を想像するだけで笑える

大人向けには少しは毒が欲しいと思うが、絶対にしょーもない方向に進むという安心感(?)があり頭を空っぽにして楽しむ作品だろう

 

ゴジラ S.P<シンギュラポイント> 3.4
ゴジラと言えばゴジラvs人類的なバトル物を想像する人が多そうだが、本作はバトルよりはそのバックボーンに迫るSF的要素が強いので、バトル物を期待した人は肩透かしを食らうことになるだろう

肝心のSF部分だが、SF作家の円城塔の脚本だけあってSFとしての世界観を構築できているし、それを(理解しやすいよう)イメージとして捉えられるようにしているのは見事。とは言え、それでも難解ではあるし、SFや理系的素養の有無で理解度はかなり変わるだろう。100%理解できなくてもストーリーは十分把握できるが、文系人間に多い枝葉末節に拘りがちな人には全く向いていない作品だろう

ただ、この結末を導くだけにしては複雑過ぎるし、肝心の結末も最低限と言った感じで満足度は低い。1クールにしては風呂敷を広げ過ぎで、それぞれのグループの話がチャンネルをザッピングするように展開していくのは全体を理解しにくい

最近は明らかに1クールに収まらない話を無理やり1クールにしてダイジェスト版のようなペラペラな作品に仕上げたり、続編が作りにくいような中途半端なぶん投げENDで終了する作品も多いので、そういう作品に比べたら続編が期待できる形で1クールで最低限纏まっている本作は十分満足できる作品と言える

後、個人的には悪くないと思うが怪獣のデザインも好みが分かれそうで、色んな意味で人を選ぶ作品だろう

 

・Vivy -Fluorite Eyeʼs Song- 3.2
作画は素晴らしいので戦闘シーンに迫力がある。曲は悪くないが、キャラとは明らかに声が違うので感情移入はしにくい

AIと人間の共存とか、AIは感情を持つのかとかSFとしてはベタなテーマだが、テーマを元にストーリーを構築しているのは伝わってくる。長いスパンの話なので時間軸的には飛び飛びになるが、その間に境遇や性格までもが変わっているのは面白い。何より1クールできっちり纏めたのは評価できる。リゼロの人は風呂敷を広げるだけ広げて畳めない印象なので梅原氏のおかげだろう

ただ、正直言って「薄い」。Vivy目線なのは歌を聞かせたいのもあろうが、時間軸を飛び飛びにできるから(SF的)バックボーンに立ち入らずに済ませられるからだろう。普通こんな場当たり的な対応をしないでしょ。複数あるシンギュラリティ(特異点)改変よりもっと先にあるシンギュラポイントを改変した方が手間もかからないし確率も上がると思うのだが

まあ、誰でも楽しめる間口の広いSFに仕上げましたって感じだろう。SFをあまり観ない人、ライトなSFが好みの人には良い作品だと思うが、本格的SFを期待するなら止めておいた方がいいだろう

 

ましろのおと 3.1
マイナー部活モノは類似作品が多いし、和楽器を題材としたものでも「この音とまれ」がアニメ化されていて他作品とどう差別化するかだが…

本作は三味線が題材になっているが、演奏シーンには力が入っていて演奏の迫力や演者の気迫が伝わってくる。演奏は個性を強調して素人にも違いが分かるようになっているし、毎話の最後にある演奏シーンでは極力無駄な回想などを入れずに演奏を聞かせようとするのはいい。ただ、大会が始まると余計な回想なんかで演奏をぶった斬るようになるのは残念

原作8巻分を1クールのアニメにしたようで、原作未読でもかなり端折ってるのが分かる。三味線甲子園に6話使っているからなあ…。1クールのアニメだとどこかにフォーカスしないと全てが中途半端になるのは目に見えているから仕方ないか

また、1クールと言う事で人物の掘り下げは明らかに不足している。ただ、主人公については掘り下げているし、主人公の心境の変化が行動だけでなく三味線の音に表れるのを重点的に描きたいのは理解できた

作画は評価が分かれそう。通常時は手抜きと言うかギャグアニメ的なデフォルメキャラになったりするので、そういう作品ではないと言う意見もありそう。ただ、上述のように演奏シーンには力を入れているので、メリハリはついていると思う

本作は原作読破勢からはあまり評価が高くないようだが、1クールという制限の中、王道と邪道、取捨選択を上手くやってメリハリのあるストーリーに上手く纏めたと思う。でも、1.5-2クールかけてじっくり描いていれば中盤までのダイジェスト感は薄らいだだろうし、主人公の心境の変化ももっと追えただけに残念ではある

 

・怪物事変 3.0
作画はいい、ストーリーはテンポがいい、キャラはきちんと個性がある、キャラ達の関係性や心境の変化もきっちり描けているが、これという個性に欠けるのは事実で地味な作品という印象に繋がってしまっている

無骨で男っぽい夏羽が女性声優で女の子っぽい晶は男性声優であるギャップが面白い

 

・大正オトメ御伽話 3.0
のほほんとした雰囲気だが、時代の影というかシビアな側面も映し出している作品。人物(特に主人公)の心境の変化は描けているしテンポもいいのだが、もう少し緩急があった方が良かったと思う。宛ら、朝の連続テレビ小説をダイジェストで見ている感じ

雰囲気的に今年放送された「死神坊ちゃんと黒メイド」と比較されそうだが、こちらはストーリー展開が早くイチャコラシーンの比重はそこまで高くないので、ゆるい日常系な雰囲気が目当てなら「死神~」の方が良いだろう

 

・八十亀ちゃんかんさつにっき(3期) 2.9
2期は住人しか共感できないような自虐ネタが多くてパワーダウンした印象だったが、3期で復活。これ以上キャラが増えるのはどうかと思うが、名古屋以外のネタも絡めていかないといくらショートアニメでも持たないだろうし

エンドロールのクレジットは外国人スタッフについても出身地表記があるのが面白いが、北京は直轄市なのでいいとして、ジュパラ(インドネシア)は中部ジャワ州じゃないのと思うのは気のせいか。ベトナムクアンビン省(広平省)表記なのに

 

・呪術廻戦 2.9
とにかく作画の良さが光る作品。鬼滅の刃もそうだが、バトル物は特に作画の良さが作品全体の印象に直結すると思う。様々な術式を用いて戦うバトルこそが本作の最大の魅力であるが、長すぎて引っ張ってる感があるのも事実

ストーリーの構図は分かりやすいが、呪術や呪霊に関する設定や多すぎる登場人物の人間関係はかなり複雑。総集編は嫌われることも多いが、本作では交流会の前に総集編を挟んだ方が良かったかも

 

・シャドーハウス 2.8
約束のネバーランド(1期)に近しい所があるストーリーだが、あちらは1話で秘密を知ってしまうのに対して、こちらは終盤まで分からない構成。独特の雰囲気、徐々に明らかになる秘密、登場人物の能力が覚醒する所、お互いの敵愾心が徐々に薄れていく所をしっかり描けているのが本作品の良さだと思う

反面、テンポが悪くて中弛み感があるのも事実。全13話ならもう少し話を進めて欲しかったが、次の区切りの良い所までは進められないという判断か。それから絵が軽い。シャドーハウスの不気味さ、ストーリーのブラックさに噛み合っていないように思う

ストーリー的にはこれからが本番という感じで、2期に期待したい

 

・ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 2.8
「ねえよ」「気持ち悪い」等、頭ごなしの否定も目立つ本作だが、果たしてそれで良いのか。自己責任論がやたらクローズアップされて公助とは何ぞやという時代ではあるが、吉田のような人間は普通にいる訳で、寧ろ即犯罪者という論理になる方が歪んていると思う。確かにドラマだとどうかと思うが、アニメならそこまで生々しくないしアニメ化の意義がある作品だと思う

とは言え、無茶苦茶面白いかと言われると…。登場人物の感情の機微、時として天邪鬼になる恋愛感情の難しさを描きたいのは伝わってくるのだが、全体的に浅いと言うか中途半端。攻めた設定を全然活かせていない。理由は大きく2つあると思う

1つ目は主人公。吉田が主人公だと思うが、沙優を主人公にした方が良かった。沙優が「好きだと言うなら抱いて」と言っても説得力がないと言うか。沙優の過去について、特に家出して以降の話があっさり過ぎる。お嬢様設定からして多分処女の娘が必要に迫られて不本意ながら体を売っているうちに女に目覚めていく様子を描かないと、身の程知らずの小娘が自分のスタイルの良さに自惚れている感じにしか見えず話が軽く感じてしまう

2つ目はコメディ要素が皆無なこと。踏み込みが浅いのは生々しい描写を避けたいのもあるだろうが、コメディ要素がない為に話が重くなりすぎることもあるだろう。実際、終盤はかなり重々しい。手っ取り早いコメディ要素といえばラブコメだが、沙優の過去に迫らずラブコメ要素だけ足すと本当に内容の薄い話になってしまいそう

題材が題材だけにアニメ化の難易度が高いのは事実で、もっとアニメ化に当たって脚本を吟味して欲しかった

 

・イジらないで、長瀞さん 2.7
最初の方こそ長瀞さん=超危険人物の印象だが、中盤以降は影を潜める。2人の愛が深まっていく様子は良く描けているが、ギャグアニメとしてはパワー不足な感も。中盤以降は脇役の登場機会が増えて脇役がギャグ要員になっているので、一気にシリアスに寄る訳でもないが

それから、文化祭エピソードは最終話でない方が良かった。更に言えばシリアス展開は不要。上述のように恋愛に関してはマジメモードだし、全体を通してストーリー性は薄いし、やっていることは正攻法と言うよりは搦手だし。そもそも無茶苦茶面白い作品ではないと思うが、一工夫あればもう少し良くなったと思う

 

ゆるキャン△(2期) 2.6
あまり好きではないが、緩さと癖のあるノリは健在。ただ、1期に比べてキャンプ色が薄まったのはマイナス。とは言え、作画良好、風景や施設の忠実度も高いので、旅行番組を観ている気分になり、実際に行ってみたくなるのは確か

でも、アニメだったらこのタイトルとは言え、もう少しテンポの良さや毒気が欲しい。実写ドラマも放映されたが、こちらの方が好み

 

・PUI PUI モルカー 2.6
モルカーはとても可愛らしく良く出来ている。人間を少し皮肉る所や12話と1話が繋がっていたりとシナリオの工夫も評価できる。ただ、子供向け番組の作品なので致し方ないが可愛らしさを逆手に取った毒が欲しい所。次回作は見里朝希監督の過去作であるマイリトルゴートのようなダークファンタジーに期待したい

 

スーパーカブ 2.6
この作品の良さと言えば圧倒的映像美。山梨を舞台にしたアウトドア系作品と言うことでゆるキャン△(身延町スーパーカブ北杜市)と比較されるだろうが、ゆるキャン△よりリアリティのある作画になっている。無口である主人公の心情を彩度の違いで表現したり、日常通る道を季節や逆方向からの描写で変化させているのは良く工夫している。挿入されるクラシックの曲も美しい田舎の風景に良くマッチしている

ここまで絶賛しておきながら何故この評価かと言えばストーリーがヤバいから。スーパーカブに乗ることで友人関係や行動範囲が広がって人生に潤いが出るというのは悪くない。ただ、スーパーカブ依存が過ぎるのはかなり痛く映る。話のテンポは悪くはないと思うが、強引にスーパーカブに絡め過ぎな上に日常風景が多いのでかなり単調に感じる。そういう意味では最後のエピソードは2週使っても良かった

最大の問題点(?)は素っ頓狂な行動だろう。二人乗りが話題になったが、そんなのは序の口で…。アニメに目くじら立ててどうすんだという意見もあろうが、リアル&シリアス路線だからだろうかかなり違和感を感じる。この作品、作画を含めリアルな部分と余りにリアリティを欠く部分がぐちゃぐちゃでアニメ化に当たってもっとシナリオを練り込んで欲しかった

礼子は昭和気質のバイクヲタって感じでパーツにもかなり拘りを持っているので、バイクヲタにはかなり楽しめる作品だろう

 

ワンダーエッグ・プライオリティ 2.6
パッと見でも作画の良さが分かる作品。脚本はあの野島伸司。「101回目のプロポーズ」「ひとつ屋根の下」のような作品もあるが、本作は「高校教師」「家なき子」「星の金貨」路線で現代の若者を取り巻く諸問題を取り込んだシナリオになっている

冒頭に出てくるコガネムシ(カナブンがも知れないが、カナブンはコガネムシ科の昆虫)はエドガー・アラン・ポーの「黄金虫」を示唆していてこのルールでワンダーエッグの文字を読むと女の子の名前になったり、何でも説明で片付けるのではなく主人公達の行動で分からせようとする意図が感じられ、かなり練り込まれた脚本と言う印象

にも関わらずこの評価なのは2度の投げっ放しENDのせい。3ヶ月待たせてこれかい…。ただでさえ尺不足なのに総集編が2回、これをストーリーに回せなかったものか。中途半端な纏めをする位なら、予定がなくても続きをやる意志が感じられる終わり方にして欲しかった

野島伸司はアニメの脚本は初とは言えドラマの脚本では十分な実績がある訳で、流石にある程度のボリューム調整は出来る筈。1クールの割にはヒロインが多すぎることも合わせると、恐らく2クールの予定を1クールに無理やり圧縮したのだろうと推測するが…

視聴者に媚びないシナリオはいいし、2クールだったらぶん投げ感も解消できて高評価だっただろう。ただ、SF展開を上手く処理できたかは疑問。日本のSF作品って実写含めて及第点以下のゴミが多い印象。「神様になった日」も酷かったからなあ…

2021年私的アニメランキングTOP10+α

注>アニメ映画は映画扱い。連続2クール作品は1クールでの採点無し。変則2クール作品は1クールでの採点あり、2クール目はトータルでの採点

 

それでは、早速発表。

 

4.5 オッドタクシー
4.1 弱キャラ友崎くん
4.0 カノジョも彼女
4.0 ブルーピリオド
3.7 かげきしょうじょ!!
3.5 Dr.STONE(2期)
3.5 吸血鬼すぐ死ぬ
3.4 ゴジラ S.P<シンギュラポイント
3.2 Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-
3.1 ましろのおと

3.0 怪物事変
3.0 大正オトメ御伽話
2.9 八十亀ちゃんかんさつにっき(3期)
2.9 呪術廻戦
2.8 シャドーハウス
2.8 ひげを剃る。そして女子高生を拾う。
2.7 イジらないで、長瀞さん
2.6 ゆるキャン△(2期)
2.6 PUI PUI モルカー
2.6 スーパーカブ
2.6 ワンダーエッグ・プライオリティ

 

因みに、去年のランキングは

 

5.0 id:INVADED イド:インヴェイデッド
4.1 アクダマドライブ
4.0 映像研には手を出すな!
3.7 おちこぼれフルーツタルト
3.6 彼女、お借りします
3.6 魔女の旅々
3.5 秘密結社 鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~
3.5 かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~
3.4 かくしごと
3.3 異種族レビュアーズ

3.2 デカダンス
3.1 ドロヘドロ
3.0 いわかける! - Sport Climbing Girls -
3.0 ゴールデンカムイ(3期)
2.9 波よ聞いてくれ
2.9 球詠
2.8 推しが武道館いってくれたら死ぬ
2.7 邪神ちゃんドロップキック’
2.6 ピーター・グリルと賢者の時間
2.6 放課後ていぼう日誌

去年に比べて3点台の作品が減少して、(一部の)良くできた作品と惜しい作品に分かれた感じ。特に話数を考えずに上手く纏められていない作品が多い印象。大人の事情で2クールが1クールになったりとかその逆とかがあるのだろう

2021年に視聴した映画短評(その11)

*今年観た映画なので、去年の作品も含みます。5点満点で最低点は0

 

・カラミティ 3.5
「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」のレミ・シャイエ監督作品で独特のタッチと色使いは健在。まあ、鬼とか紫とか今時の作画の対極の作風なので、ああいう作画こそ正義と思っている人には合わないだろう

カラミティ・ジェーン(1856-1903)は西部開拓時代に実在した人物で斥候として働いた経験がある軍人。本作は少女時代をアニメ化している。大言壮語癖があるようで自叙伝は嘘が多く本作でもその一端が垣間見えるが、若くして一家を支えることとなった人生に由来するのかも

ストーリーは所謂冒険譚で正直普通。少し捻りが欲しい。勝ち気で実力が伴わないマーサが自身の努力と人とのふれあいによって成長していく様は良く描けている。親子で見るにはいい作品だと思うが、上映スクリーンが少ないのが残念

 

・空白 4.2
流石、吉田恵輔監督と言うべきか。脚本の完成度が素晴らしい。「BLUE ブルー」は未視聴だが観たくなった

ほんの些細な出来事が多くの人を巻き込む大事になる。これにマスコミが食いつくかと言えば微妙だが、これだけキャラの立ったモンスターペアレントが大暴れすれば食いついても不思議ではない。"視聴率が取れればモラルは二の次"なのは眞子さまと小室圭さんの結婚騒動報道を見れば良く分かる

古田新太演じる父親と寺島しのぶ演じるスーパーの店員は世間的な評価は正反対だろうが、どちらも…。完全に被害者だと思っていた父親に気付かせる件も上手く出来ていて、本作のテーマを炙り出している

ただ、群像劇風味なのと要素を盛り込み過ぎなのは映画としてちょっと弱い。スーパーの店員はこの映画にとってとても重要な存在ではあるが、"空白"が似合うキャラでは無いと思う。もっと父親と店長にフォーカスした方が"空白"の意味も映画自体も印象に残ったと思う

映画の評価なんて人それぞれだが、この映画はこの映画を低評価にする人にこそ観て欲しい。この作品が低評価なのは恐らく"図星"だから。多様化する社会は止めようがないし、いい加減エコーチェンバーから抜け出さないと社会についていけなくなるだろう

 

サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ 4.0
サウンド・オブ・メタルはダブルミーニングになっている秀逸なタイトル、聞こえるということは微妙。聞こえないということにした方が良かったのでは

正直、ストーリーはそこまで目を引くものはない。コミュニティに参加するまではややグダグダだが、突然聴力を失ったことを考えれば狼狽するのは当然。ラストは微妙だが、印象に残るシーンではある

この作品で印象的なのはデフ(聾)に関する考え方。日本だと障碍者=かわいそうという歪んだ価値観があるが、それは当事者にとってどう感じるのか。本作では「多少の不便はあるが不幸ではない」。だから聾を治そうと思わないし、聾であることを選んて生きている

その価値観を理解するのに役立っているのが本作のサウンド演出。普通の音、無音、ルーベンが聞いている音。サブタイトルの意味が伝わってくる

本作はアマプラで配信されているが是非映画館で味わって欲しい。本作は明るい話ではないし、某女王映画のような音楽映画でもないが音を味わう映画なのは間違いないので

 

・恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜 2.9
強迫性障害(潔癖症)の二人のラブストーリー。ポップな感じのポスターから軽い感じのラブコメを想像するが、前半のみで全体的には軽快な話とは言えない

前半は男性のポーチンがナレーション、話もポーチン目線で進む。癖のある二人の馴れ初めから付き合い始めての話は強迫性障害と向き合いつつも重くならず笑えるラブコメに仕上がっている

後半は女性のジンがナレーションでジン目線の話になる。強迫性障害との関連性は薄くなり単なる男女の拗れ話になる。オチは一応捻ってはいるが○○○だし、オチへの伏線がないから意外性と言うよりは唐突な感じがしてイマイチ

本作はiPhoneで撮影されたらしいがチープな感じはない。画角を変えたりポップな色使いをしたりと画作りには拘りが感じられる

評価だが、前半は褒められるが後半は並以下。トータルではこんなもんだろう

 

プリズナーズ・オブ・ゴーストランド 0.0
最近は酷評されることが多い園子温作品。その園子温が何を血迷ったかハリウッドデビューするとのことで茶化しに行った訳だが…。酷評レビューの嵐も当然だろう

レビューを書く前に最近の他の作品のレビューも斜め読みしたが、やはりと言うか本作だけの問題ではなかったようで。この作品の何がダメって言えば全てと答えたくなるが、掻い摘んで挙げると中途半端そして奇を衒い過ぎだと思う

それとセットで描かれる日本が酷い。一昔前の日本と中国(香港)の区別がついていない欧米人が想像したような日本だもんなあ。インターネットで簡単に情報が得られる時代にこれはない。海外でもこれでウケるとは思えないのだが…

冷たい熱帯魚」「ヒミズ」辺りがピークだったのか。今後、少なくとも自費で園子温の新作を観ることはないだろう