2022年に視聴した映画短評(その11)

*今年観た映画なので、去年の作品も含みます。5点満点で最低点は0

 

・ザ・ロストシティ 1.3
ジャンル的にはアクションアドベンチャーらしいのだが、アクションもアドベンチャーも中途半端。コメディ要素強めだがそんなに笑えないし、ストーリーも盛り上がりに欠ける。典型的なキャストの無駄遣い、ラジー賞有力候補だろう

ジャングルの光景や古代エジプトっぽい感じはインディ・ジョーンズハムナプトラのオマージュなんだろうし、The Final Countdownとか懐かしい曲が挿入歌として使われていて、昨今のリバイバルブームに乗った作品を作ればウケるんじゃねってノリで作られたのだろう

ただ、コメディ仕立てにするにしてもアクションを頑張って、もっとスリリングなアドベンチャーをしてこそ笑えるってもの。おばさんの温いラブロマンスには微塵も興味なし

貧乏くさい感じではないのでそこそこ金はかけているんだろうが金の使い方を間違っている。豪華キャストの無駄遣いこそ至福と思える人以外にはとてもお勧めできる作品ではない

 

・ベイビー・ブローカー 1.6
世間の評価は割れているが個人的には外れ。是枝監督っぽさは出ている作品だが韓流としては中途半端。監督のファン以外にはお勧めしかねる。特に監督のファンではない韓流マニアの人が観たら睡眠時間になるだろう

内容を端的に言えば「万引き家族」韓国版。偽装家族が絆を深めていく過程を丁寧に描写しているのは是枝作品らしい。キャストは韓国の一流どころを揃えているだけに演技も素晴らしい

ただ、全体的に単調で盛り上がりに欠ける。韓流らしいブラックさやキレがない。ラストもダラダラした展開な上にこれかよって感じで幻滅。本作はロードムービー仕立てだが、愉快な珍道中ではないのは勿論のことサスペンス感にも欠けて何の為のロードムービー演出か分からない

シンプルな話を無駄に分かりにくくしている感じ。もっと視点や構図を絞れなかったかね。ブラッシュアップが足りない印象だが、色々考え過ぎてとっ散らかった感じか。常にチャレンジしている印象はあるので次回作に期待したい

 

・哭悲/The Sadness 1.8
台湾のホラー映画。宣伝文句通りグロシーンが多いので耐性がない人が見る作品ではないだろう。ただ、血の量が多すぎてリアリティに欠けるし、倫理上問題があるシーン(〇姦シーンとか)をカメラワークで露骨に避けているのがイマイチ

この手の作品にストーリー性を求めるかだが本作は中途半端な印象。最後の方の謎解きも全てが分かる訳ではない上にありがちな展開への伏線でしかなく、ラストシーンは陳腐of陳腐

せめてウイルスの"設定"はしっかりして欲しかった。感染者は感染者を襲わないと言いながら明らかに襲っているシーンがあるし、感染して即理性を失う人もいれば、かなり理性を保っている人もいる。この辺が曖昧だから、何となく逃げて何となく生き残る感じで怖さに欠ける

主人公2人には魅力を感じないが、地下鉄の車内で知り合った(?)田山涼成風のおっさんの執念深さは良かった。目を刺された女性は渡辺直美かと思ったし、狙ったキャスティングなのかと勘繰りたくなる

 

・炎のデス・ポリス 3.0
ジャンル的にはアクション映画になるだろうが、派手なのは終盤だけ。予告編を見ると軽い感じのB級刑事ドラマだと思うだろうが、内容は心理戦がメインで舞台も警察署内が殆どなので地味な感じ。典型的な予告編詐欺だよなあ

序盤から丁寧に伏線を張っているが、ややテンポが悪いかも。話が動き出して一気に最後まで突っ走るのはそれなりに爽快感がある。それなりと書いたのはマッチポンプ感があるからで、アクションメインならまだ目を瞑れるが本作はそうではないからねえ

ツッコミ所はあるが、上映時間も長くないし娯楽映画としては悪くない。サービスデーとかに観るにはいい作品だろう

 

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 0.9
1993年にジュラシック・パークが公開されてから30年余り。過去にジュラシック・パーク3作、ジュラシック・ワールド2作を経て本作がシリーズ最終章。小生は1作目しか見ていないが、最後と言う事で視聴したが…

本作を大まかに表現するとバイオハザードインディ・ジョーンズを足して2で割って同窓会仕立てにした作品。要素を詰め込み過ぎて何を描きたいのかが全く伝わってこず、これが最終章とは思えない薄っぺらい話になってしまっている。最終章なので皆のアイディアを集めてみましたって感じなのか

特に駄目な所を挙げると、まずは同窓会。歴代の主役級が終結は安直と言わざるを得ないが、スパイダーマンもそうだったしねえ。ハリウッドも好況とは言えない状況なので、どこかの国みたいな発想になるんだろうか

まあ、同窓会そのものが悪い訳では無くストーリー的に意味があればいいのだが、残念ながらそうではない。各キャラを立たせる為の無駄なストーリーが多くて、上映時間が長い割に内容が薄い要因になっている

次に35x5。小生はこの手の恐怖症じゃないが、本作で観たいのは恐竜。しかも、35x5は37564にするのに恐竜は保護するってどういう事。今の地球環境は恐竜にとって向いているとは思えないし、35x5も恐竜も人間の我儘でこうなった訳で

ジュラシック・パークシリーズも約30年続いてその間にバイオテクノロジーも目覚ましく進化しているが、バイオテクノロジーに関しては未だに賛否ある状況。元々はバイオテクノロジー反対の観点で作られた作品だった筈でそれは貫いて欲しかった

他にもツッコミ所に事欠かないが、科学的な話は設定と言う事にするにしてもバイオシンは色々と酷すぎるだろ。とても超一流企業とは思えないのだが

唯一褒められる所は映像。CGも悪くないけど、CGじゃなくて動いている恐竜は素晴らしい。ただ、本作では恐竜にあまり見せ場がない上に35x5に持っていかれた感じ

初代ジュラシック・パークジュラシック・ワールド2作を観てからの方がいいとは思うが、ぶっちゃけこのストーリーの完成度なら同じだろう。過去5作全て観た人でも評価は割れそうな作品だし、ジュラシック愛がないなら無理に映画館で見る作品ではないと思う