2022年に視聴した映画短評(その6)

*今年観た映画なので、去年の作品も含みます。5点満点で最低点は0

 

・ナイトメア・アリー 1.2
アカデミー賞作品賞にノミネートされているが、率直に言って駄作。「シェイプ・オブ・ウォーター」で受賞したんだから、もういいんじゃないの。その「シェイプ・オブ・ウォーター」も…

2時間半かけて結局因果応報。暗い話なのはいいとして、テンポが悪い上に雑。人物に感情移入できるかどうかが名作の基準ではないと思うが、主人公含めあまりに行き当たりばったりでもう少し心理描写があれば少しは印象が違ったかも

1940年頃のアメリカを再現したセットは素晴らしく、暗い感じなのも作品の世界観に合っている。後は、無駄に豪華なキャスティング。特にケイト・ブランシェット演じる心理学者のリリスは妖艶で悪女の魅力たっぷり

ストーリーに見所は皆無なので雰囲気を味わう作品。アカデミー賞作品賞ノミネート作を観たいなら他の作品にすることをお勧めする

 

ベルファスト 2.4
アカデミー賞作品賞ノミネート作品。TENETやダンケルク等のノーラン作品に出演したケネス・ブラナーが監督で制作された本人の幼少期の経験を基にした自叙伝的な作品で、タイトルのベルファスト北アイルランドの首都である

イギリスの主な領土はグレートブリテン島だが、アイルランド島にも領土を持つことは社会の授業でも習った筈。イギリスとアイルランドは長い紛争の歴史があるが、1960年後半から始まった領有権争いを北アイルランド紛争(The Troubles)と呼ぶ

ただ、本作は北アイルランド紛争を描いた作品ではないので紛争への深い理解は必要ない。カトリック陣営がアイルランドプロテスタント陣営がイギリスの構図ではあるが、ベルファストの中でカトリック陣営とプロテスタント陣営が反目していると言う理解で十分だと思う

本作は上映時間が短い上に曲がかかっている時間も長いので、正直内容はあまりない。ただ、ストーリー展開に乏しい分、家族の一人一人を追えているとも言える。老夫婦役のジュディ・デンチキアラン・ハインズの台詞には重みがあって印象に残る

ただ、小生には刺さらなかった。その原因はカトリックvsプロテスタントと言う構図に実感が沸かないからだと思う。日本は八百万の神の国でいい意味で懐が深いからねえ。本作は割とレビュー評価が高いが、この構図を受け入れられない人には並の作品という評価だろう

それとモノクロもどうか。確かにノスタルジックな雰囲気はあっているが、1940年とか1950年の情景をカラーで再現している作品がある中だとインパクトに欠けると言うか。まあ、この作品に浸れていないから、こういう所が気になるのかも知れない

 

・スピリットウォーカー 3.5
SFアクションと紹介されているが、率直に言ってSFではない。ノーランのメメントに影響を受けていると思うが、タイトル通りの内容でオカルト寄り。但し、ホラー要素はないし、純粋なアクション映画だと思う

アクションシーンは安定のクオリティで見応え十分。韓国映画はアクション当たり前だしね。某主演女優賞のアクションごっことは大差があると言わざるを得ない

脚本はスピリットウォーカーと言う着想は面白いし、観客にストーリーを追わせるように出来てはいるが完成度はイマイチ。もっと捻るのもアリだが、(少しずつ全体像が見えて来るうちに)何が何でも記憶を手に入れて復讐すると言う方向性が明白な方がもっと引き込まれたと思う

本作はハリウッドでリメイクされるらしいが、どんなテイストになるかねえ

最後にお小言だが、日本人役は日本人にできなかったかねえ。如何にも片言の日本語って感じで、せめてもっと日本語の上手い人にやって欲しかった。チョイ役とは言え興醒めする

 

・TITANE/チタン 2.0
カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞した作品だが、うーん…。色々な意味でぶっ飛んだ作品な上に分かりにくいので激しく人を選ぶ作品だろう

ストーリーは前半と後半で大きく変わる。序盤のぶっ飛んだシーン以降はホラーっぽい展開になるのでこれはホラーかと思いきや。後半は風変わりな家族愛を描く作品に。全体的に壊れているのでいい意味で先は読めないが、最後は割とまともなのは残念

〇とセックスして〇の子を宿すなど随所に常軌を逸しているが、それらについての説明は無し。正に「考えるな感じろ」な作品。タイトルのチタンは金属のチタンであるが、その語源となったギリシャ神話の神のメタファーでもあるらしい。同様に主要人物のアレクシアやヴィンセントも神のメタファーらしい

本作はR15+だがグロシーンが多いので耐性が無い人には厳しいかも。それとアレクシアは服を着ていないシーンが多いので裸ばかりなのはどうもと言う人も止めた方がいい。まあ、裸はいやらしいって感じではないので、逆にそれ目当てで観るのもどうかと思うが

 

ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード 3.5
ヒットマンズ・ボディガードの続編だが、序盤に前作を簡単に振り返るので前作未視聴でも楽しめる。脳天気でお下劣、正にアメリカの娯楽映画って感じ

派手な銃撃戦とカーチェイスは見応え十分。そこにコメディもきっちり絡んでアクションコメディとしてのポテンシャルは高い

タイトルにワイフズとあるように本作の主役はソニア。豪快&お下劣キャラは関西のおばちゃんって感じでインパクトがある。ただ、バディ物としての面白さとは違うかな

ストーリーは無駄に凝ってて分かりにくい。アクションコメディなのでもっとシンプルで良かった。その方が終盤にかけて盛り上がったと思うし、アクションシーンにも緊迫感が出たと思う。まあ、オチは面白かったけど

配給が大手じゃないせいか全然話題にならないが、とにかく頭を空っぽにして娯楽作品を観たい人にお勧め