2021年に視聴した映画短評(その6)

*今年観た映画なので、去年の作品も含みます。5点満点で最低点は0

 

・シンクロニック 1.8
素材はいいのにシェフの腕が…の典型。SF一本で行く気はなかったのだろうが、SF部分はかなり甘いし、ヒューマンドラマとしても特筆するようなことはない。ストーリーの進行が遅くてオチも寒い、正直褒められた作品ではない

伏線は丁寧に仕込んでいる印象でタイムトラベルは唐突な話ではないが、テンポが悪くなってオチも見え見えだし上手く使えていない。行き先がニューオーリンズの歴史を反映しているのは面白いが、何故、毎回襲われる?とか考えてしまうと冷めてしまう

ゴミと吐き捨てる程つまらなくはないし、映像的には頑張っている。細かい事は気にしない人ならそこそこ楽しめるかも

 

・彼女 1.5
この作品を端的に言えば、テルマ&ルイーズの上っ面だけを舐めた、原作を雑に切って張り合わせただけの凡庸な映画。映像的には攻めているが、シナリオは正に「これだから邦画は〜」と言われかねない中途半端な脚本で内容の割にダラダラ長い印象

原作は中村珍の羣青(ぐんじょう)。全3巻のうち上巻だけ読んだが、ボリューム的に原作に忠実な作品にするには映画の尺では厳しい感じで、大幅なカットや改変は必須と言える

音楽はテルマ&ルイーズを意識したのか明るい軽いノリの曲が多いが、全く合っていない。原作は殺人を犯した罪悪感と同性愛に揺れる心の機微を克明に描いた作品のようだが、本作では心理描写が明らかに不足していて、情緒不安定で行きあたりばったりにしか見えない

本作の最大の話題性は過激な性描写だろう。水原希子さとうほなみ(=ほな・いこか)のヌードは勿論、絡みもある。因みに、所謂ガッカリおっぱいではないのでそこは御安心を。ただ、上述の通り心理描写が不足しているので絡みの必然性に乏しい。過激な性描写ならVシネマ等でも見れる訳で

原作通り緻密な心理描写をするか、テルマ&ルイーズ路線に大胆に改変するかのどちらかにして欲しかった。明らかに無理なボリュームにまで圧縮して駄作化するネトフリの闇の典型のような作品になってしまった

 

・アウトポスト 2.5
後半の戦闘シーンはかなりの迫力でこれが戦場だと思わせるものだが、前半は…。アウトポスト(前哨基地)での出来事なので単調なのは仕方がない所はあるが、余りに細切れ過ぎる。全員にスポットライトを当てたいのだろうが、皆軍服だし誰が誰だか覚えられない

正直、並の戦争映画。戦争映画好きがサービスデーに行くにはいいかも

 

スプートニク 3.7
ポスターを観るとエイリアンvs人類の壮大なバトル物に思えるが、はっきり言って地味な作品。ストーリーに粗はあるが、逆にソ連らしいと思わせる部分もある。伏線はきちんと回収しているし、この手の話としては意外な方向に向かうのが面白い

難点は中弛み感があるのと、子供の話がくどい。無理に分かりにくくする必要はなかった。映像的にはそこまででもないが、クリーチャーは良く出来ている。グロシーンは少ないが、耐性無い人はきついかも

この作品はソ連末期の設定だが、全体的に暗い映像、重々しい音楽は実にそれらしい。施設の場所がカザフスタン(バイコヌール宇宙基地があるからだろう)、冒頭の歌は元はラトビアの曲と当時はまだ一つの国だったのだと実感する

 

・AVA/エヴァ 2.0
この作品の最大の注目点と言えばジェシカ・チャステインのアクションだが、よく頑張ったで賞って所か。ただ、アクション慣れしてない上に小柄(163cm)なこともあって、もう一つ迫力が足りないのも事実。最後もラスボス(コリン・ファレル)が弱いだけにしか見えないし

肝心のストーリーだが、アクション物なので多少の粗には目を瞑るにしてもありきたりな上にサイドストーリー(と言うよりこちらがメインかも)も色々あるので、全体的に浅い、詰め込みすぎな印象。まあ、テンポが悪いよりはマシだが、話が撚れている感も強い

この作品がユニークなのは、サイドストーリーと言うか主人公を掘り下げている所。そんなの当たり前と言われそうだが、職業が殺し屋となれば話は別。ただ、主人公の家族や過去、心の葛藤を掘り下げて面白いかと言えばそうでもなく、ただでさえ中途半端なストーリーが更にガバガバになるだけなのが現実

この終わり方だと続編も考えていそうだが、このデキでは観たいとは思えない

どうでもいいことだが、エヴァヲタがチケット買う時はちゃんとエヴァンゲリオンと言った方がいい。EVA(邦画)とAVA(洋画)の区別がつかないから。最近はネット予約が主流だから、窓口で購入する機会は少ないと思うけど