2020年に公開された映画短評(その1)

*映画館以外で視聴した映画が対象。映画館での視聴を見送った作品なので、全体的に辛目の採点になります。5点満点で最低点は0

 

・青くて痛くて脆い 3.0
脆い、青い、痛いの頭文字を取ればサークル名になるように、若さゆえの視野の狭さ、それが暴走する構図、強く思っていた筈なのにあっさり改心する、と、タイトル回収はバッチリ。最近はエコーチェンバーを患っている人が多いので、こういうのは若者だけではないと思うが

ただ、モアイが今風のサークルになった、田端がサークルに行かなくなった経緯をもう少し丁寧に描写できなかったか。それと、映画オリジナル(原作を読んでいないので想像だが)要素との噛み合わせがイマイチに感じる

特にテンの件とか伏せたままでよかった気がする。結局、董介も秋好も(田端目線で)何を考えているかわからないというのが暴走の原因だし。エンディングに関しては悪くないと思うし、トータルで行って来いか。それと、予告編は何とかならなかったのかねえ…評価下げるだけだから止めた方がいい

キャストに関しては吉沢亮の演技は流石だが、いくらコミュ障とは言え女子も沢山いるサークルでこれ程のイケメンが空気は考えにくい。田端と董介は逆が良かったと思う

 

・キャッツ 2.0
新猫登場して挨拶代わりの歌の無限ループを脱したら、♪メモリーラオウ、終わりと思っていたら本当にその通りだった。本作は映画なので尺の都合で登場の歌は大幅カット。ヴィクトリア目線で進むのでストーリーは分かりやすくなっているが、そもそも内容は無いようだし…

この映画の最大の売りはSFXだと思うが、猫は別に気持ち悪いとは思わないし、鼠やGも大丈夫。背景もリアルと言うか奥行き感があるが、それらが逆に作り物っぽく見える。細かいカット割りは映画ならではだが、舞台鑑賞の際には頻繁に視線を移動することはないと思われ没入感を削ぐ結果に

キャッツはレ・ミゼラブルのようにストーリーで引き込むことは無理で没入感が全てだと思う。舞台で鑑賞している時、自分もジェリクルキャッツ達の一員であると感じられるか。没入できてしまえばSFXなんて使わなくても想像力で身も心も猫になることができる。それができる人が虜になるのだろう

実際、レビューを書く前に他人のレビューを流し読みさせてもらったが、ミュージカル・キャッツを何回も観ている人の方が高得点をつけている。映画で新たな魅力に気づき、映画の足りない所はミュージカルのイメージで補完しているのだろう。一方、補完できない未鑑賞組が化け猫を観るとねえ…

筆者は残念ながら未鑑賞組なので高評価はできないが、キャストの歌や踊りは及第点以上だと思うし、ジェニファー・ハドソンのメモリーはグッとくるのは事実。個人的にはヴィクトリア役のフランチェスカ・ヘイワードが嵌っていたと思う。日本人なら珍しくない体格だが、欧米人だと候補はかなり限られそう

 

ヲタクに恋は難しい 0.5
駄作。以上。で終わりにしたいところだが、それではレビューにならないのでダメ出しを

まず、一番気になるのはミュージカル。寛大な心で何故ミュージカル?には目を瞑るにしても酷い。セリフで言ったことを更にミュージカルで繰り返すからくどいしテンポも悪くなる。セリフは建前、ミュージカルで本音ならまだ楽しめたと思うが

次に弾幕演出。ニコ生等でお馴染みのアレだが、明らかに映画には不向きな演出。多分、これがヲタク文化だと思っちゃったんだろうなあ。この演出を筆頭に監督がヲタク(文化)を理解していない感じがした

一応、アニメも観たが(流しただけだが)、ウチはウチ、ヨソはヨソって感じでお互いを尊重して付き合う話だった筈。ヲタクってストライクゾーンが極端に狭い人たちな訳で簡単に宗旨替えしないと思うが。ゲーヲタ→アニヲタ(声ヲタ)って単に内田真礼をパンダで使いたかっただけにしか思えない

正直、アニメもそれ程面白いとは思わなかったし、大幅にいじらないと無理と判断したのだろうが、作品として意味不明なのは何とも。原作を忠実に再現する必要はないが、映画として何を見せるか考えて作って欲しい

原作破壊した上にダラダラしてつまらないので0点と思ったが、高畑充希に免じて極刑は回避。流石、元ピーターパンだけあって基礎が出来ていると言うか歌唱力のランクが違う感じ。ミュージカル仕立てが良かったのは高畑充希の歌が聞けたことだけだろう

 

・Fukushima 50 1.0
前半こそ原発事故に立ち向かう現場の緊迫感が伝わってくるが、後半はゴミ。テンポは一気に悪くなるし、何を描きたいのか不明。豪華キャストでヒューマンドラマに仕立てれば感動大作間違いなしと思っている制作陣の志の低さが手に取るように伝わってくる

絆的なものを描くにしても何を描くのか。現場の作業員の絆、家族との絆、アメリカ軍との絆(トモダチ作戦)、政府との絆(これはないか)。吉田所長と現場のリーダーである伊崎の絆に(伊崎の)家族愛を絡めたかったんだろうが全てが中途半端で終わっている

このタイミングで映画化するなら新たに分かったことも含めて原発事故を改めて検証する内容であって欲しいと思うが、政治的思惑も絡むし何よりそれではヒットはないってことなんだろう。全く期待していなかったが、ドキュメンタリー作品としてもエンタメ作品としてもイマイチだと何だかなあって感じ

 

・AI崩壊 0.5
作品の半分は不毛な鬼ごっこ。SF部分は勿論のこと、それ以外もツッコミ所の嵐で"脚本崩壊"と呼ぶに相応しい。観客は大半が放射脳、まともなSFを作った所で評価されないし、最後泣かせ所を作れば高評価間違いなしって感じなんだろう

組織間の仲の悪さ、政治家と役人のタッグが冷静に考えればあり得ないプランを強行、それでも民衆はデコイに踊らされるだけ、恐らく2030年になっても変わらないだろうし社会風刺だけはできている。近未来なんだし、他の要素についても2030年にどうなっているか考えて作れなかったものか

まあ、オリジナル脚本でSF映画を作ろうとした勇気に敬意を払って0点はつけないことにする