2020年に映画館で視聴した映画短評(その1)

*今年観た映画なので、去年の作品も含みます。5点満点で最低点は0

 

・パラサイト 半地下の家族 3.2
起承転までは素晴らしい作品だが、肝心のオチがイマイチ。考えられたオチではあるが、インパクトに欠ける。更にオチに持っていくまでの展開が良くない。どういう方向に持っていきたいのか定まらないし、中盤までのテンポの良さが嘘のようなダラダラ感

貧困問題を扱った作品は多いが、この映画はシリアスに向き合う作品にする気はなかったと思われるし、もっとコメディ寄りに振った方が良かった。ゴミではないが、絶賛する作品でもない、それなりの作品という印象

 

・国家が破産する日 4.5
史実を元にした作品でどういう結論になるか分かっているが、それでも緊迫感が伝わってくる。政府、中央銀行、中小企業の経営者、混乱に乗じて一山当てようとする投資家、それぞれの視点が面白い

ただ、政府批判という割には効果的な経済政策を提示していないのも事実。モラトリアムも結局ウォンの下落を招いて外国資本に頼ることになり、非正規雇用の増加、所得格差と言った現在の重要な社会問題は回避できない。通貨危機にはならなくてもバブルが弾けた日本は小泉改革によって似たようなことになった

政府の隠蔽体質は日本も変わらないし、日本も他人事ではないと思わさせる作品

 

・エクストリーム・ジョブ 3.8
一昔前の香港コメディを今風にアレンジした感じの作品。韓国映画だが笑いのツボは日本人にも合う筈。もう少しストーリーを捻るかアクションで魅せてくれると良かったが。気楽に見て笑える作品としてはオススメできる

 

・フォードvsフェラーリ 1.5
上映時間の割に中身が薄い。作品のかなりの部分がフォード上層部との確執で占められているが、上層部が邪魔しなければル・マンなんて簡単に勝てるかと錯覚するようなストーリー構成は如何なものか。フォードとシェルビーが袂を分かつところまでストーリーは進まないのだし

車の開発はとても大変でテストをしてそれで得られた結果をフィードバックしての繰り返しで凄く地味な作業だが、その部分は殆ど描写されていない。いくらシェルビーが優秀でもそれは変わらないのだが

ドライバー目線の映像とサウンドは迫力があるので、カーレースなんて興味も知識もない人がノリで見るにはいいかも知れない

 

・リチャード・ジュエル 4.0
運び屋同様、実在の事件を題材にした作品。FBIのずさんな捜査、いい加減なマスコミによるメディアスクラムの酷さは余りあるが、今だとこれにSNS等でデマを流す奴らもいる訳で冤罪事件に巻き込まれたらと思うとゾッとする感がある

ただ、運び屋同様、ジワッと盛り上がる感じでもう一つ盛り上がりに欠けるのも事実。最後もいきなり飛んじゃうし。史実ではこの後ジュエルのマスコミへの逆襲が始まるのだが、それには全く触れていない。まあ、悪いのはマスコミだけではないってことだろうけど

フェイクニュースが社会問題化している昨今、タイムリーなネタでもう少し話題になってもいい作品だと思うのだが。今の日本では現実を直視させられるような作品じゃなく、頭空っぽにしてノリで見られる作品じゃないと受けないんだろうなあ